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清瀬市は人口7.4万人(現在も微増中)、面積10.2k㎡、一般会計規模291億、財政力0.65。東京都の中部北端に位置し、北は埼玉県に接するまちである。1950年代までは農業と医療のまちであったが、現在は首都圏の近郊住宅都市として発展。中清戸の気性衛星センターには気象庁の心臓部であるスーパーコンピューターがあり、気象衛星ひまわり8号のデータを受け、天気予報の基が清瀬で作られている。人参の生産量は都内随一であり、平成26年からは市庁舎の屋上を使って養蜂事業を行い、市役所生まれのはちみつ「きよはち」として売り出している。今般、新庁舎建設基本計画について会派視察を行い、企画部参事新庁舎建設室長 原田政美氏、建設室係長 大野英武氏に説明を受けた。

 

新庁舎建設は平成22年度の清瀬市耐震改修促進計画の策定が発端となる。現庁舎は昭和48年竣工という事もあり相当老朽化が進んでいた。翌平成23年度に耐震診断を実施したが、多くの自治体と同様にマグニチュード6~7で倒壊の危険性がある、とされた。

平成25年度からは市議会にて公共施設耐震化特別委員会が設置され、委員会報告を経て清瀬市公共施設耐震化計画を策定。庁舎耐震化整備方針の公表や市民説明会が実施された。

同年、庁内検討委員会、公募市民や有識者等で構成する新庁舎建設基本計画策定委員会が開催された。平成26年度からは新庁舎建設基本計画策定委員会の下部組織として、専門部会を設置。市民ワークショップ開催、市民アンケート、パブリックコメントを実施し、平成27年度に市民説明会を開催、市議会へ基本計画(案)を報告した。委員会には清瀬市名誉市民である東京芸術大学名誉学長 澄川喜一[i]氏が名を連ねる。平成30年度を中心に用地取得を済ませて建設着工。平成33年度の供用開始を見込む。計画から実質的な建設計画の着手は平成27年度からなので、竣工までに7年間を見込む計画である。

 

新庁舎は現庁舎と隣接して建設。その後旧庁舎を解体する。いわゆる現地立て替えにて行われる。用地取得の容易性、そして仮庁舎が不要となるコスト面での優位性で決定された。延べ床面積は約10,000㎡。職員一人あたりの面積は24㎡。総務省が規定する職員一人当たりの執務スペースは25㎡であり、近隣の自治体を鑑みても平均的な広さである。職員総数は臨時を含めて400名程度と少数だが、水道、消防は東京都が担い、廃棄物処理は広域で行っている。敷地面積は12,000㎡、建築面積は2,000~3,000㎡で地上4~6階。駐車場を400台ほど整備する計画である。270台は職員用とされているが、清瀬市が整備するものではなく、民有地を職員が借用して整備する。一か月の駐車料金は6,000円。駅前の月極駐車場は10,000円程度が相場とのことであった。免震構造を採用しており、耐震構造よりも約1.3倍程度のコストアップとなるが、地震が発生した際、防災拠点としての機能を迅速に果たすために採用された。

また、施設の運用状況を効率的に管理できるエネルギーマネジメントシステム(BEMS)[ii]の導入が検討されている。

 

総事業費は50.8億円を見込む。内訳は下記の通り。

費用 概算金額 説明
基金 28億 公共施設整備基金を活用
地方債 20億
補助金 1.5億 社会資本整備総合交付金の活用を想定
一般財源 1.3億
合計 50.8億

基金は目的を限定した基金ではない。現在20億であるが、完成時までに積み立てる。補助金については、庁舎建設に限った補助金ではなく、社会資本整備に当てられる国のメニューから受諾を見込む。

 

清瀬市の新庁舎整備の特色の一つとして、コンストラクション・マネジメント(CM)[iii]方式があげられる。国交省のモデル事業としても認定されており、事業期間は平成28年度~平成33年度。事業費として9,000万円を見込む。清瀬市の技術職職員は正職員1名、嘱託3名と貧弱な体制であり、床面積10,000㎡以上の工事実績もない。パブリックコメントでもCM方式の採用提案がなされてり、事業費内で納めるためのコスト管理を中心とした、技術力の補完、発注関係書類の事務、工法・手法の検討等の支援を期待し、CM方式が採用された。課題としては、発注者と請負者に加え、CMが介在することにより、最終的な判断や意思決定が一時的に滞る可能性があるとではないか、という事だった。

 

6.所  見(事業採択の可否も含む)

全体として平均的な庁舎整備計画と言えるが、専門職の知見を活かすことができるCM方式は、大村市の新庁舎建設計画においても一考に値するのではないか。

清瀬駅から庁舎に赴く際、ケヤキ並木の間に並ぶ彫刻群が印象的だった。聞けば竹下政権時のふるさと創生1億円基金を利用して行った「並木のプロムナード事業」として市民の目を楽しませているという。大村市の新庁舎建設計画においても参考となる有意義な視察であった。

[i] 昭和6年、島根県に生まれる。山口県立岩国工業高等学校機械科を卒業。日本の古い木造建築の研究を始め運慶や快慶の彫刻に感動する。東京藝術大学彫刻科入学。平櫛田中教室にて塑造を学ぶ。東京藝術大学教授となり平成7年同学学長を務める。現在日本藝術院会員・文化功労者。東京スカイツリーのデザイン監修を務めるなど、全国に野外彫刻・環境造形を多数手がける。

[ii] BEMS(Building and Energy Management System、日本語では「ベムス」と読まれる)とは、「ビル・エネルギー管理システム」と訳され、室内環境とエネルギー性能の最適化を図るためのビル管理システムを指す。先行していた産業界のFA (ファクトリー・オートメーション、Factory Automation) の対語として、BA(ビル・オートメーション、Building Automation) と呼ばれることもある。BEMSは、ITを利用して業務用ビルの照明や空調などを制御し、最適なエネルギー管理を行うもので、人探知センサーや温度のセンサーと制御装置を組み合わせたものである。業務用ビルからのCO2排出は日本のCO2排出の1割程度を占めており、今後も増加が予想されることから、BEMSの導入は温暖化に対する有効な対策である。

[iii] コンストラクション・マネジメント(construction management)とは、建設プロジェクトにおいて、建設発注者から準委任を受けたコンストラクション・マネジャー(CMr)により、中立的に全体を調整して、所期の目的に向かって円滑に事を運ぶ為の行為のこと。