蟷螂の斧にさえ

予算特別委員会の採決が終了しました。

政治は「税」

一般会計当初予算は今後のまちづくりと直結する特に重要な議案です。
その予算の一部にどうしても納得できないものがありました。

しかし、その1点だけで市民生活の全域に渡る予算全般に反対するのかどうか。
1,673名の有権者から負託された議決権をどう行使するのか、という葛藤。

「反対」となると修正案を出さなければいけません。
(出さない党もあるようですが)

予算案ですので各部局にまたがる膨大な量となるでしょう。
正直なところ一議員、というか今の私の力では無理です。

悩みましたし、先輩議員にアドバイスも頂きました。
一人で反対に回っても賛成多数で可決は必至。

ならば非・建設的な態度はとらない、という「解」を得て、賛成に回りました。

しかし、何も言わずにもろ手を上げて賛成、というわけでは無い。
賛成討論の中で疑問と要望を述べました。

下の原稿の通り、長々と述べましたが、ようは、一部には反対だけど、全体を否決する力が私には無い、という白旗です。

蟷螂の斧にさえもなっていない。

以下原稿ですので議事録とは若干相違があります。
本会議の採決ではもう少し簡潔に述べたいと思います。

第25号議案一般会計予算について、賛成の立場で討論いたします。

これまでも主張してまいりましたが、重ねて申し上げます。
税金で住宅を整備する時代は終わりました。

事業費の45%が国から降ってくる事業といえども、それは国民の借金、次世代にツケを回す片棒担ぐ事になるのではないでしょうか。

そして市の借金分は今後20年にわたって償還をする訳ですが20年間の税金の先食いになる事を、今生まれた子ども達が望むでしょうか。

作ってしまえば耐用年数70年。そこに48世帯が入居する事が可能になります。いわば48世帯が70年、住宅投資を行わない、ということにもなる。

住宅にお困りの方には、市内1000を超えると言われる空家空き部屋を公営住宅として借りあげる。もしくは民間に一定年数の借り上げを提示し、民間資本に賃貸住宅を整備して頂く。そのような方法もありますし前例も既に他の自治体であります。これまでと違った新しい方法ですから、上手くいっていない事例や民間特有の不確定要素も多いでしょう。しかし最初から完璧な制度設計は難しい、日進月歩と考えればよいのではないでしょうか。

私は何も公共事業がすべて悪、と言っているのではありません。

公共の役割は民間には出来ない部分に特化するべきです。
道路や新幹線といった交通インフラ、上下水道などの生活インフラ、学校や図書館などの教育インフラ等、これらは今後も公共が責任を持って整備を進めていくべきものです。

しかし既に民間が行っている住宅供給については税を使ってやるべきでは無い。
これはクラウディング・アウトにつながる、民間経済を阻害し、民間投資の減退を招きます。いわば税金を使って民間の商売の邪魔をしている、という事になるのではないでしょうか。

また、防災の観点からも疑問があります。

32戸は高齢者用という12階建ての高層住宅にスプリンクラーが設置されないということには驚きました。
双方向への避難経路確保がなされている等、スプリンクラー免除規定に合致している、という事でしたが、だからといって安全性が向上する、といえるでしょうか。

実際に火災が起こった事を想定すれば、火元で延焼を食い止める、その場で消火機能が働く、というのがスプリンクラーの機能だと思います。設置コストはかかりますが、双方向だから避難がしやすい、各階に消火栓があるから消火活動がしやすい、防火区画が設置されている、ということでは補完する事ができない機能だと考えます。

また、32戸が高齢者住宅、それも住宅にお困りの方々、という事を鑑みれば、入居の長期化、そして高齢化による介護度の進行、身体機能の低下は避ける事ができないでしょう。

社会保障の増大を抑える為、国は在宅介護を進めています。比較的低料金で入居できる特別養護老人ホーム等は入居待ちの状態です。個人資産に余裕があれば有料老人ホーム等に転居、ということも考えられますが、住宅にお困りの方には難しいでしょう。
となれば入居が長期化し、そこで在宅介護サービスを受けながら生活を続けることが想定されます。高層の老人ホームが出現する、と言えます。

介護度が進み身体機能が低下した高齢者にとって、火災発生時に双方向避難がたやすいでしょうか?各戸の消火栓や消火器を使って消火活動ができるでしょうか?
私は難しいと考えます。
その上、近接道路は狭猥で片側はアーケードに面していることもあり梯子車はビルの片側からしか接近できない、という条件で消火・避難活動にあたらなければならない、という事も懸念材料の一つです。

火元の原因となる可能性の高い台所ですが、高齢者住宅部分はオール電化で整備する、とのことで、それについては火災発生をリスク低減する事にはなるでしょう。しかし火器を持ちこめない、と言う事ではありませんし、持ち込み禁止のはずの高齢者施設から火災が起こっていない、という訳ではないと思います。
そして、一般向けの16戸にはガス機器が整備される。こちらから火災が起きないという保証はありません。リスク低減を考えるならば何故全てオール電化にされなかったのでしょうか。

くわえて、全国に報道され、介護施設の消防規制厳格化の引き金となった、グループホーム火災がここ大村市で起こったことをお忘れになっているのでしょうか。
311以降、防災意識が高まり、これまでの防災体制の見直しや再構築が進む中で、行政が整備する高層12階建ての高齢者住宅にスプリンクラーが付いていないなんて想像すらしていませんでした。

この事業については以上の理由からは納得はできるものではありません。

しかし、この1点だけで、市民生活の隅々にまで関係する全体の予算に反対するのか?ということを己に問うたとき、悩みます。葛藤があります。それは一千名を超える市民から負託された議決の行使者としての苦しみでもあるのでしょう。
その様な中、先輩議員諸兄にはアドバイスを頂き、本当にありがとうございました。
その上で、私は「非・建設的」という姿勢は取らない、という「解」にたどり着きました。
であるならば、

・公営住宅ストック計画については総戸数をさらに削減する方向で進めて頂きたい。
・本町アパートについては全戸をオール電化で統一し、スプリンクラーの設置によるリスク低減策を検討して頂きたい。

との要望を付す、という形で賛成といたします

まるくとも ひとかどあれや ひとごころ

あまりにまるきは ころびやすきに

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