私にとっては初の一般会計予算を審議する議会でした。
各部局にまたがり、市民生活の様々な部分に影響する358.7億円の使いかた。
経験した議会は今回含め全4回、その中でも特に資料や議論も多かったです。
所属会派の代表質問に立たせて頂きましたが、一般質問と違い、質問が予算の内容に限定されます。そして会派の所属人数で時間が決まりますので(ウチは3人会派ですので35分)勝手が違ってやりにくかった感も。
予算特別委員会での質問と一般質問は別に行われるので、質問する議員も多く勉強になりました。
今回の議会は考えさせられる事が多かった。
特に私の「反対の賛成」討論では多くの方から賛否両論。
議員の役目を放棄した。
思いが伝わって良かったと思う。
戦略不足だった。
二者択一のジレンマを経験してこそ一人前。
沢山の意見やアドバイスを頂きました。
それぞれに方にそれぞれの考えがあって勉強になります。
私の今回取った行動をじっくり振り返ってみます。
私の主張の一つに
「今後の行政は小さな行政を目指し、民間活力を補完する役割となるべき」
というものがあります。
これは市長選に出た時から訴えてきた事であり、今も変わりはありません。
なので、新規の市営住宅建設には反対、という立場でした。
住宅供給は民間もやっている。新たな公営住宅建設は民業圧迫につながる。
お困りの方には空き家対策にもなる民間住宅ストックを活用すべし。
議会で何回か同じ議論を繰り返すことになりました。
しかしこの建設事業は私が議員になる前から関係予算が議決されていました。
市長選にも惨敗でしたし建設凍結などあり得ない、という状況です。
そんな事業を含む予算案には個別に賛否が表明できません。
市のほぼ全てを網羅した1本の議案にYESかNOか。
事業1点のみについて反対=全てに反対、という態度をとるのか?という自分への問い。
数人の方に相談をし、色々とお話を頂きました。
賛成に回ったらどうなるか
反対に回ったらどうなるか
その態度が議員としてどうとらえられるか
反対に回るのならば修正案を、という話がありました。
正直なところ修正案の出し方も作り方も分かりません。
見た事さえも無い、それが今の私の議員としての能力と経験値です。
そして修正案を作る事ができる、という方と制度としてはあるが現実的には難しいという方も。
・この事業は私が議員になる前から予算執行されており翻らない
・修正案を出す事は今の自分には無理
・その1点以外については反対ではない。
なので賛成に回ろうと決めました。
某党は修正案も出さずに反対するそうで、それでも良いという話もありましたが私的にはあり得ません。
ただ、その設計について新たな懸念が生まれていました。
スプリンクラーが設置されない、という事です。(これについては前述)
質問が終わってしまった段階で現地視察の最中に判明。高齢者用の高層住宅にスプリンクラーが設置されないなんて想像もしていませんでした。
どうすれば良いのか。
色々と聞き合わせる中で「要望を付して賛成というやり方があるよ」というアドバイスがありましたのでそうする事にしました。
以下「反対の賛成」討論の原稿です。
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第25号議案一般会計予算案について賛成の立場で討論いたします。
当初より新たな市営住宅の建設について私は反対の立場でありました。
税金で住宅を整備する時代は終わった。公共事業は民間が出来ない部分に特化すべきである。作ってしまえば耐用年数70年、48世帯が住宅投資を行わない、と言う事にもなり、民業圧迫になりかねない。
住宅にお困りの方には市内に1000を超える空家、空き部屋を公営住宅として借り上げてはどうか、という提案をしたところです。
しかしこれについては私が議会になる前から、関係予算が議決されていたこともあり議論は平行線、そして計画通りに建設は行われる、ということでした。
よって、今後の市営住宅整備計画については総戸数をさらに縮小する方向で見直しを行って頂くよう要望をいたします。
次に、防災設備について新たな懸念が生じました。
高層12階建ての高齢者を入居させる住宅にスプリンクラーが設置されない、という事です。
聞けば免除規定に準じているので問題はない、ということでした。
しかしその場で延焼を自動的に食い止める、というスプリンクラーの機能を補完できる設備があるとは考えられません。
また、増大する社会保障費抑制の為、在宅介護が進められています。いわばこの市営住宅は高層の老人ホーム化する可能性が高い。
加えて全国報道され、介護施設の防火設備規制厳格化の引き金となったグループホーム火災が起こった事を忘れてはなりません。避難や消火活動が難しい高齢者が多い住居と考えれば、スプリンクラーの設置は不可欠だと考えます。
よって、この市営住宅にはスプリンクラー設置を含めた、防災設備・対策の更なる充実を行って頂きますように強く要望を付して、賛成といたします。
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ただ、討論には拘束力が無いので、何の意味も無い、という話もありました。
しかし無言で賛成するより「こんな懸念がある」という事を発信する事に意味があったと思っています。
今後も一般質問で質していこうと思います。
結果として予算案には他の議員からも様々な議論や疑念が呈されましたが、反対者はゼロ。
新副市長二名の人事案件を含めて全議案、全会一致での可決でした。
今回、多くの方に色々と御心配やアドバイスを頂きました。
この経験を糧に、さらに精進したいと思います。
ありがとうございました。