建設環境委員会の行政視察に行ってきました。 まずは愛知県大府市
33.6Km2に8万5千人という過密都市(大村は126.5km2に9万3千人)
”たいふ”と読んでいましたが正しくは”おおぶ”と読みます。
その昔、村人が尊敬していた「大夫さま」がいたとかで、そのまま市の名前になっだそうです。
言わずと知れたトヨタのお膝元、財政力指数1.35(大村0.62です。1.0が分岐点)
交付税依存度0.3%(大村15.9%)
中学校まで医療費無料だそうで、健全財政、豊かな自治体ですね。
ベッドタウンとして若年層が流入してきており、高齢化率も低く14.7%(大村18.2%)
小学校が足りなくなったというという活力のある街、市庁舎・議場も素晴らしい建築物でした。
前回もそうでしたが、豊かな自治体を見るにつけ、自治体間格差を感じますし、公共経営の手腕が大切なんだなあ・・と。
ここでは議員提案による美しいまちづくり条例についてのレクチャーを受けました。
大府市内では初の議員提案条例で21年4月に施行、環境美化条例の一つです。
会派を超えた勉強会「いちご会」が政策条例プロジェクトを発足、二期目の議員として行政チェックするだけではなく、政策立案を出来るようになろうという気運が高まり、環境美化条例をテーマに先進市の視察や議員自ら条例を検討したそうです。
環境をテーマにしたのは反対しにくいだろうという思惑もあったとか。
この条例一番のキモは市単独の条例に罰則がある、という部分でしょう。
タバコのポイ捨て2万円、資源物の持ち去り5万円の罰金刑です。
法律的な問題は無いのか法制関係の確認に始まり、罰則を有効化する為に地方検察庁との協議、地元警察へ訪問、と処罰を有効化する為に腐心したとのこと。
気になるのは市民の理解ですが「お題目ではダメ、罰則が無ければ効力がない」という事で予想に反して好意的だったそうです。
条文もかなり細やかな印象。喫煙者の責務が定めてあり、節煙の努力。携帯灰皿、歩行、自転車乗車中に喫煙しない、と徹底しています。
駅の禁煙地区看板、路上にも禁煙地区マークが貼ってありました。
なんか喫煙者がかわいそうだと思うのは元喫煙者の私だけでしょうか。
議会内でコンセンサスを取ることに腐心したが全会一致とはならず共産党2名が反対に回り賛成多数で可決だったとか。
以下質疑より抜粋
おおぶ市ならではの部分は?
→前文を付けようと思ったが、前文のある条例は基本条例クラス、個別の条例にはつけない。
「健康都市おおぶ」のカギ付きには法制から疑問が上がったが違反にはならないとのことで、無視した。
制定後、制定前、数値的な改善はあったか?
→目標数値は特に設定していない。検証できない。
京都は1,000円、名古屋市2,000円の罰金、2万円は高いという声は?
→ない。実際に適用はゼロ。この条例では、発見、指導、勧告、命令、裁判というステップで刑事罰となり前科が付く。
京都や名古屋は行政罰(科料)の違い。その場で徴収される。
行政罰を機能させるには(監視員)人員が厳しいという側面もあった。ただ市民からはしっかり監視して罰金をとれ、という声もある。
住民同士でトラブルになることは?
→ない、直接言わず、役所に情報が上がってくる、役所は情報源は秘匿し指導する。
環境美化推進員、指導員が55名、報酬年額6万円は高くないか?
→リタイヤ世代がかなりの熱意で活動してくれている。高いとは思わない。落書き等も減ったような気がする。
類似する条例は?
全国で3自治体・平塚・小巻・高浜。
科料は29自治体、罰則なしは11自治体。
二日目は知立市。
こちらも東西南北4キロ四方の小さな土地、16.3km2に7万人、人口密度が高いです。
財政力は1.2、交付税依存度0.5%と健全財政。中学校まで医療費は無料。
でも役所や議場は古めの建物で親近感が(笑)
リーマンショックの影響もあり、本年度は財政力指数が7年ぶりに1を切って交付団体になったそう。
市政40周年と比較的若い市で外国人が多い街です。ある小学校は48%が外国人(ブラジル人メイン)だそうです。
工場への出稼ぎが多く、URが運営する団地が保証人無しで入居できることも一因とのこと。
ここでは知立駅周辺土地区画整理事業について勉強してきました。
鉄道が街を十字に分断、おまけに4つの国道が井の形で縦断しています。
急激な人口増の後、駅周辺を中心に商業の衰退、人口の空洞化、高齢化が進みました。
その結果、狭小な歩道幅員や慢性的な渋滞、踏切での長期遮断、朝のピークは50分遮断機が下りているそう。
まちの骨格の作り直し、というべきでしょうか。
県が行う鉄道高架事業、区画整理事業が同時進行、かなりの大事業です。
イラストは連続立体交差事業の完成パース。
鉄道を高架で上げて、その下に国道を通します。
愛知県が事業主体で総事業費615億、内、知立市負担130億、国260億、名鉄95億です。
年度はH12~H35まで。完成まであと10年程かかります。
併せて区画整理事業も市が主体となって行われます。
S31~39で一度やったそうですが再度の区画整理だとか。
H38までの長期事業、事業費197億です(市100億、国県74、他)
都市計画道路8路線、駅前広場の倍増、公園2箇所を移転、建物移転に148億を費やします。
中でも大変だったという寺院墓地の移転。
墓地1428基、623名が使用者で移動に3年を費やしたそう。
檀家は高齢者が中心で反対も出た。古くからの宿場町で無縁仏の整理(遊郭があったとか)が大変だったということでした。
それに合わせて民間主導で駅前再開発ビルが建築されます。
区画整理対象となった地権者が集合して組合を作り事業費は30億(市2.5億円)
住宅60戸、駐車台数240台です。
話は大村と似てますが、駐車場の数は団地がい、いや段違いですね。
近隣に3つの組合があるそうで、再開発計画もそれぞれ。
バラバラにうごいているんでしょうか?非効率な印象です。
この事業、最大の課題は莫大な財政負担。
担当者自ら「身の丈に合っていない過大な事業」とい言いきる。
しかし「今やらなければ二度とできない事業」とも続ける。
まちの骨格作りをやりなおさなければ知立市の動脈硬化は止まらない。
道路が狭小で救急車がたどり着けない地区もあるとか。
311で安心安全に対する意識が向上しているので減歩率23%(!)でも納得はして頂けるとか。ただ、過大な財政負担は住民の理解が難しい事もありコスト削減に腐心しているとのこと。
立ち退きがこじれ収用法にかけたケースは無し。しかし検討までは数件あったそうです。
この事業でまちの動脈を復活させる。そしてマスタープランでは7万人を2021年に7万3千人にしたい、と強気の設定です。
このまちにも郊外型のショッピングモールが二つあるそうです。車社会で中心市街地には商業系の開発は難しいという話もありました。
ちなみに視察内容とは関係ありませんが、知立市の市議会議長は38歳(三期目)
そして市長は50歳で二期目。
元々市職員だったのが、市議会議員となり二期務めて市長に。
他所の自治体では市長や議会の事を聞くのも興味深いです。
今回も色々勉強になりました。
地元を離れて一緒に行動していると会派を超えた議員同士の話も弾みます。
こういった視察研修の内容は市政研究会で議員が共有しています。
報告書は事務局に備えてありますので閲覧も可能です。
事務局さんセッティングありがとうございました、感謝。