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総務委員会にて大阪府岸和田市を訪れ、市民生活部自治振興課・参事 佐野成城、担当長 松田浩城両氏より表題の件について説明を受けた。
岸和田市は大阪府の南部、和泉平野のほぼ中央に位置する。海から山にかけて長い市域形状になっており、面積は72.68km2、人口19.8万、一般会計723億、財政力指数0.58、自主財源比率40.37%。南北朝時代、一帯が「岸」と呼ばれており、和田高家が代官として任命され、初めて築城されたといわれる。

以来、和田一族の中で「岸」の地の「和田」とよばれ岸和田になった。(諸説あり)明治四年の廃藩置県において、「岸和田県」が置かれ、大正11年に市政を施行、「岸和田市」が誕生。明治後期以降は紡績業、および煉瓦製造業を中心に発展。「だんじり祭り」が全国的に有名な泉南地域の中核都市である。

岸和田市は「市民自治都市の実現」を目指し平成17年に「岸和田市自治基本条例」を策定した。国内でも黎明期の取り組みである。条例の第6章には「協働及び参画」が謳われており、ここを政策の発生源として「まちづくり事業者バンク」を平成20年にスタートさせた。
事業者バンクの概略はCSR所謂、企業の社会的責任を果たさんとする企業が、市民活動団体と連携・協力しながらまちづくりに取り組む仕組みで、行政は事業者と市民活動団体の両者のニーズを結び付け(マッチング)、より効率的かつ効果的な公共サービスの提供を実現するとともに、新たな公共の担い手を創出することを目的としている。
事業者が提供する公共的サービスは、会議室の貸し出しや市民講座への講師派遣、社内見学の受け入れなどが登録されている。それらを活用したいと考える市民団体(平成28年1月現在48団体が登録)が行政に要請し、マッチングを利用するというもの。

しかし、現状ではかなり寂しい状況であると言わざるをえない。

平成28年度のマッチング実績はゼロである。人口20万に届こうかという都市の事業所数は7,583事業所とされるが、事業者バンクに登録している事業者は16事業所のみ。27年度以前のマッチング実績も27年度1社2回、26年度2社6回、25年度1社4回、いう状況である。加えて、実績の中心となっていた事業者が倒産、今年度中に施策が活用される見込みも無い、とのこと。

聞けばこの制度の積極的な広報的活動等は行っておらず「待ち」の姿勢であり、社会貢献を行いたいという企業が自主的に手を上げる場合の受け皿を整備しているに過ぎない、という状況であった。予算も特に発生していない。事業者の中には会議室等の無償貸し出しを掲げているものもあり、ニーズがあるのではないかと質問したが、公民館がその役割を充足させている、との事であった。

所見(事業採択の可否も含む)

政策の発生源が、市長公約や議会提案、市民運動などではなく、行政ということもあり、この施策に「熱」は感じられなかった。相当なテコ入れをしないかぎり、いつ止めても誰も困らない施策であるように感じる。理念や目的は素晴らしいものだが、仏つくって魂入れず。この施策を中心に市民自治運動を活性化させようという「志」を持つ人間が携わらなければ、その目的を果たすことは出来ないだろう。

百聞は一見にしかず。政策は現地に行って、見て、聞いて、触れてみなければ分からない。
施策の制度設計については、過不足はないと考えるが、熱をもって動かす人間がいなければ意味が無いということを再認識させられた視察であった。

文責:北村貴寿