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「マーケティング」13~15章:学生・北村貴寿

第13章 ブランド構築のマネジメント

1.はじめに

ネスレは「キットカット」で新たな市場を創造した。そのブランド構築マネジメントについて考える。

2.グローバルブランドとしての「キットカット」

◆「キットカット」という商品

世界共通4点の特徴がある。

①チョコとウエハース ②ロゴ ③音 ④ブランド・スローガン「Have a break, have a KitKat」

高い認知度がありノーエキサイトメントで安価→競争力に危機意識→ブランドの再定義

◆ブランドの再定義

「Have a break, have a KitKat」=「ストレス・リリース」(日本流の意味を発見)

消費者側で生まれていた新しい価値と意味「きっと勝つ」

→受験シーズンにサンプリング・キャンペーン

3.ブランド構築のコミュニケーション

◆パブリック・リレーションズ(PR)

PR:公共性を強調したコミュニケーション活動、新聞・口コミ等第三者を介して展開。

「きっと勝つ」は消費者が生み出した新しい価値。ネスレのものではない。

→学生が通学に多用するJRとコラボレーションしたキャンペーン。

→マスコミでの報道(BBC、天声人語)PRがPRを呼び込んだ。

◆リレーションシップ・マーケティング

PRと並行した新しいマーケティング活動

①期間限定商品の発売

②新しいコミュニケーションの模索「卒業式サプライズコンサート」「ブレイクタウン・ドットコム」「CD併売」

③リレーションシップ(関係性)・マーケティング:消費者との交流の場づくりでより深いコミュニケーションを図る。インターネットとテレビCM、街頭プロモーションがミックスされたマーケティング。

4.ブランド構築の論理

◆ブランドの機能

ブランドとは:見えざる資産。商品やサービスを特徴づける為に付与される名前やマークの総称。3つの機能がある。

①保障機能:生産者明示、責任の所在が保障されること。

②識別機能:他の商品との明確な区別。あるいは逆に同一ブランド商品の同質性

③想起機能:ある種の知識や感情、イメージを思い起こさせること。

 

図13-1

 

◆ブランドの効果

ブランドは3つの機能により資産として大きな効果をもつ。

メーカー:ブランド構築を通じて集客効果とロイヤルティ効果を期待する。事業拡張の機会も生まれる。

消費者:意思決定簡略化。自己表現媒体。有用性が構築され判断基準として機能。

◆マネジメントの指針としてのブランド

ブランドは実態を持たない。どのように機能するのか、ブランド・パワーの測定が重要。

 

図13-2図13-3

 

算出された指標は、資源配分や投資戦略上の方向性をも指示する。ブランド測定はマネジメントを可能にする。

 

5.おわりに

ブランド構築には長い時間がかかる。そして、絶え間ない維持活動が重要。ブランド・マネジメントは長期的で継続的な資産構築手法である。

第14章 ブランド組織のマネジメント

1.はじめに

ブランド・マネジャーとブランド組織マネジメント、その役割や責任、必要性と重要性について考える。

2.ブランド・マネジャーの誕生

P&Gのプロダクト・マネジャーが原型。浴用石鹸の新製品売り上げを伸ばすためニール・マッケロイが考案し業績を伸ばした。

3.ブランド・マネジャーとプロダクト・マネジャー

「プロダクト」は生産者志向であり、「ブランド」は消費者志向のニュアンスを持つ。

◆ブランド・マネジャーの役割

ブランド・マネジャーは自分が担当するブランドの価値の維持について全責任を負う。さらに、価値を高揚させていくことが求められる。

→マーケティング・ミックス各要素の管理、マーケティング資源の配分により最大の効果を生みだす責任。社内の多くの部署との調整という重要な仕事。

 

図14-1

 

◆ブランド・マネジャーによる戦略の立案

市場や競合ブランドに関する情報が十分に必要で、自由に活用できる環境が必要→情報本部。

 

図14-2

 

◆リプトンのブランド・マネジャー

リプトンの主力ブランド「リプトン・ティーバッグ」は少しずつシェアを低下させ競合ブランドに後塵を拝した(エロージョン=ブランドのパワー低下)

様々な意見や提案が社内から寄せられたが、どの要素がどの要素とどのように関係して、エロージョンを招いたのか説明できていない。

 

◆総合的分析によるブランド・マネジャー

エロージョンを克服する為、総合的な分析を開始。新しいマーケティング・ミックス計画を実行。

→価格の調整・新しい広告キャンペーン・パッケージデザインリニューアル・消費者テスト

→計画の実行年にシェア低下がストップ。翌年から上昇へ転じた。

ブランドのマネジメントに必要なもの

①ブランド価値の保持について主体的に責任を負うマネジャー

②マネジャーが作成するブランド戦略が実行できる組織

 

4.組織によるマネジメント

◆分業と組織

複数ブランドを有している企業のマーケティング組織。

 

図14-3

 

マーケティング・マネジャーの上にはマーケティング担当役員がいる。マーケティングの最高責任者であり、多国籍企業などでは海外本社や地域本部にいて各国共通のブランド管理に責任を持つ。

 

◆資源の配分

ブランドのライフサイクルに対応した資源投入が必要。

・導入期:多大 ・成長期:積極的継続 ・成熟期:価値の維持の為必要最小限

資源配分の判断はブランド・マネジャーの権限を超える。

→よりシニアなポジションのブランド・マネジャー。マーケティング最高責任者。

 

5.マーケティング組織の発展

アメリカの企業に採用され始めたのは50年代になってから。70年代半ばには消費財メーカーの8割が採用。日本では60年代に入ってから形成され始めた。

 

図14-4図14-5

 

マーケティング組織は図のように階層的、重層的に発展。より統制のとれた企業行動を志向する。

6.組織マネジメントを支える機能

◆ブランドごとの会計情報

財務会計:ステークホルダーに経営成績や財政状態を報告し、外部との利害関係を取り扱う。

管理会計:ブランドを会計的に管理し、ブランドごとの損益を示す。経営内部の様々な意思決定や業績評価に役立つ情報提供により、経営管理の有効性を高める。

→ブランドの健全性に貢献。

 

◆ブランドの会計的な健全性

・ブランドごとの利益管理は様々なコストの線引き等に難しさがある。しかし、ブランドの健全性やマネジメントにとって欠かせない。

・「攻め」の戦略と実行に追われるブランド・マネジャーに、会計面での「守り」の必要性を知らしめるのが管理会計の重要な役割。

→「攻め」と「守り」がバランスよく実行される最適な戦略構築の実現(リプトン)

 

7.おわりに

・ブランド・マネジャーによるブランド価値の向上と維持、分析は必要不可欠。同時にその能力を発揮できる組織が必要。

・ブランドの多国籍展開にはグローバルな視点でのブランド管理が必要。同時にマネジメント組織についてもグローバル化が必要である。

 

第15章 企業の社会責任

1.はじめに

多くの企業が多様な分野の社会責任活動(=公共課題への取り組みを支援)に取り組んでいる。

消費者に良好なイメージを与える効果が上げられるが、公共的な取り組みの中でマーケティングの広がりがもたらされており、今までにない社会的関係を結ぶマーケティングとなっている。

 

2.「タイド・コールドウォーター」の挑戦

◆企業常識と社会常識のギャップ

P&Gの調査・・・企業の常識と社会の常識にギャップを発見。

・企業常識(P&G):温水洗濯が当然。

・社会常識(アメリカ):冷水洗濯のメリットを常識的に知っているが、温水洗濯している。

→冷水洗濯のメリット①衣服の色落ちが無い②光熱費削減③社会全体の省エネ

→温水洗濯のメリット④汚れが綺麗に落ちる。

→冷水のメリットを知っているが温水のメリットを犠牲にしてまで冷水洗濯はしない(60%)

・消費者のトレードオフを発見し、商品開発とマーケティングへ。

 

◆マーケティング・キャンペーンの展開

・温水でなければ汚れが落ちないという常識をくつがえすマーケティング・キャンペーン。様々な公共性の高い団体や消費者との社会的関係が結ばれ思いがけない広がりを見せた。

→環境保護団体ASEをパートナーとしたキャンペーン

共同Webサイト「タイド・コールドウォーター・チャレンジ」

①無料サンプルで冷水洗濯体験 ②納得したら継続       ③友人に紹介して登録奨励

①冷水洗濯にチャレンジ    ②光熱費と省エネにチャレンジ ③100万人参加にチャレンジ

→低所得者への光熱水費支援団体NFFNをパートナーとしたキャンペーン

100万人達成するとNFFNに10万ドルを寄付=低所得家庭への支援という社会的意義

・開始からわずか3か月で100万人を達成。省エネと寄付を実現した。

・思いがけない参加者=コロラド州立大学家政学部の協力:P&Gから5000点の無料サンプル寄付により冷水洗濯への切り替えを促進→省エネと学内における環境問題への影響を認識できた。

 

3.マーケティングにおける企業の社会責任

◆企業の公共性

一企業が本業の中で公共的な取り組みを実施するのは難しい。二つの問題が上げられる。

①伝統的な考え方として企業の社会的責任は利益を追求する事である。

・出資者に利益を還元する責任。・顧客に満足を与える商品を提供する責任。

②私人である企業が一人で行うべきかどうかという問題

・企業が利益を社会責任活動に投資するのならば、ステークホルダーに同意が必要なのではないか

 

◆社会責任活動の意義

現在行われている活動は3つのタイプに分類。

①「自己満足型」何でもよいという訳ではない、という批判を受ける可能性がある。

②「マーケティング志向型」イメージ向上の為に行われる。宣伝効果が薄れると中止する可能性がある。

・・・①②は長期的活動にならない懸念がある。③にはその懸念がない

③「ベンチャー型」社会責任活動を先駆的な事業と考え、その経験をフィードバックする効果を考える。

→タイド・コールドウォーターの事例。今まで知らなかった企業常識と社会常識のギャップを認識し、企業にフィードバックしてギャップを埋める工夫をした。

 

◆社会責任活動の実現

社会責任活動を実現する3つの要件。企業組織が社会に対して開かれた存在であることが重要。

①本業とは異質のメンバーの加入

・公共性を反映できる多様なメンバーの参加。社会常識とのギャップを認識する為。

②異質の社会的関係

・メンバー間の関係で相互理解が必要となる形に編成されている事。外部メンバーとの意思疎通がより丁寧に繰り返され、そのプロセスにおいて活動内容が十分に検討される。

③異質の意思決定ルール

・公共性が反映できる民主的な形をとること。企業単独では公共性を保てない。

 

4.おわりに

社会責任活動は広がりが期待されるマーケティング分野の一つ。企業が外部との社会的関係を結ぶプロセスの上で、社会常識とのギャップを認識し、これまでの企業活動を自省することができる。