第15号議案 平成29年度大村市一般会計予算中、総務委員会付託分
審査結果 原案可決
審査経過について申し上げます。
今回の一般会計予算の主な内容について申し上げます。
本議案は、平成29年度大村市一般会計予算の歳入歳出総額を430億3,000万円とするものであり、対前年度当初予算比52億円の増となるものであります。
まず、平成29年度当初予算を編成するに当たり、新市庁舎建設に係る経費を考慮した上で編成したのか質問し、理事者からは、「平成29年度当初予算には新市庁舎建設に係る経費は計上していない。市は今後、多くの大型事業等を予定しているが、新市庁舎建設については、早急に取り組む必要があるとの判断のもと、おおまかなスケジュール案等を議会に示したところである。また、本市の将来的な財政状況については、健全で良好な状態を持続できる見通しであることに加え、国において公共施設等適正管理推進事業債といった有利な起債が新たに創設されたことから、これを活用し、取り組んでいきたい。また、当初予算については、例年どおり、財政課で立てている歳入予測や枠配分といったルールに基づき、編成しており、新市庁舎建設を見据えて、事業化を見送ったものなどは一切ない」との答弁がありました。
次に、ラボ!ラボ!コラボ!!リサイクル大作戦について 申し上げます。
委員会におきましては、事業概要について説明を求め、理事者から「使用済みの紙を原料として、水を使わずに新たな紙を再生する、世界初の再生紙製造機“ペーパーラボ“を九州で初めて導入するもので、紙類を廃棄処分せず、再生紙としてリサイクルする仕組みを構築するものである。なお、本事業については、補助率2分の1である地方創生推進交付金への申請を今月、行う予定である」との説明がありました。
委員会におきましては、本機を導入することによる効果について質問し、理事者からは、「1点目として、焼却ごみや森林伐採の削減によるCO2の削減効果や本機で生産した再生紙を利用したノート等を教育現場等で活用することなどによる“環境にやさしいまちづくり”への寄与、2点目として、市及び市民等が一丸となったシティプロモーションに取り組むため、市の情報を満載にした名刺台紙の配布や、本機の製造メーカーとプレミアムパートナーになることで本市のPR活動の強力な後押しとなる“シティプロモーション効果”、3点目として、マイナンバーなどの機密文書を外部に持ち出すことなく抹消処理することによる“セキュリティーの向上”、4点目として、回収作業や分別作業等を福祉団体等に委託することによる“雇用機会の創出”、5点目として、紙類の購入費や処分費について、年間約50万円の経費節減効果を見込んでいる」との答弁がありました。
次に、本機の購入等の予算を計上することとなった経緯について質問し、理事者からは、「市民環境部の職員からの提案を受け、財政課で内容を精査したところ、プレミアムパートナーとなることで、当該製造メーカーが本市のPRを行う点と、市と競艇企業局が1台ずつ購入することで、1台当たり800万円安く購入できる点から、本事業に着手すべきと判断し、予算化したものである」との答弁がありました。
次に、競艇企業局で購入予定のものも、交付金の対象として申請するのか質問し、「競艇企業局で購入予定のものも含めて、申請する予定である。また、本事業は、交付金の交付要件である雇用の創出、官民協働などの要素を含んだ先駆性のある事業だと確信している」との答弁がありました。
次に、本事業を6月の補正予算ではなく、当初予算に計上したことに関し、交付金の申請手続きにおける条件など、何らかの理由があったのか質問し、理事者からは、「国の予算枠が1,000億円と限られているため、当初予算に計上することが採択には有利に働くと考え、当初予算に計上したものである」との答弁がありました。
次に、交付金が不採択となったときの対応について質問し、理事者からは、「庁内で検討する必要はあるが、一般財源で対応し、事業を進めたい」との答弁がありました。
次に、本機のこれまでの導入実績について質問し、理事者からは、「自治体については、長野県塩尻市、諏訪市、民間企業については、6社ほどがテスト機を先行導入しており、正式な商品の販売予定は、10月以降となっている」との答弁がありました。この答弁を受け、先行導入されているテスト機を実際に確認したのか質問し、理事者からは、「塩尻市では運用形態等の視察をしており、製造メーカーの本社にいたっては市長自ら視察している」との答弁がありました。さらに、この答弁を受け、テスト機を本市に設置し、実際に確認することはできないのか質問し、理事者からは、「本機は重量が1.8トンもあり、設置するためには相当の費用が必要になることから、困難である」との答弁がありました。
次に、本機に対し、第三者からの客観的な評価は何かなされているのか質問し、理事者からは、「2016年の“第15回日本イノベーター大賞”、“2016年(第26回)日経地球環境技術賞 優秀賞”を受賞している」との答弁がありました。
次に、雇用機会の創出とあるが、何名ぐらいの雇用を想定しているのか質問し、理事者からは、「福祉団体等への委託を考えているため、実際に雇用するときは、身体の状況等を考慮する必要があるが、予算上は、フルタイム、8時間の勤務形態で、2名と考えている」との答弁がありました。
次に、最新機器の導入により、シティプロモーションを推進していくということであるが、このような手法で全国的に知名度が上がった自治体の事例はあるのか質問し、理事者からは、「事例がないからこそ取り組む価値があり、本市が最初の成功事例として、全国に発信したい」との答弁がありました。
次に、地域連携ポイント構築事業 について、申し上げます。
委員会におきましては、事業概要について、理事者から「ボランティアへの参加や消防団への加入などによりポイントを発行し、さらに、現在、商店街が発行しているポイントカードと連携することで、地域経済の活性化を図るものである」との説明がありました。
委員会におきましては、獲得したポイントをどのように利用するのか質問し、理事者からは、「ポイントと商品を交換できるような仕組みにしたい」との答弁がありました。
次に、平成29年度の取り組みは調査・研究となっているが、実際に導入する時期はいつごろになるのか質問し、理事者からは、「平成29年度中に関係機関との調整等に取り組み、可能であれば、平成30年度には事業が実施できるようにしたい」との答弁がありました。
次に、独自のポイントカードを発行している大型スーパー等も含まれるのか質問し、理事者からは、「いろいろなところに参加を呼び掛けたいと思っており、大型スーパー等の参加についても、可能性を探っていきたい」との答弁がありました。
次に、総務課に計上されている地形図 について、申し上げます。
委員会におきましては、地形図が作成された時期について質問し、理事者からは、「平成11年3月に作成したものである」との答弁がありました。この答弁を受け、本市の地形の変化は激しく、作成当時と比べたら、まちの様相は一変しているが、新たに作成する予定はあるのか質問し、理事者からは、「作成からかなりの年月が経過しているため、作成しなければならないとの認識は以前から持っている。平成33年に予定されている池田沖田線の開通を目途に作成したいと考えており、現在協議中である」との答弁がありました。
最後に、野良猫対策事業 について申し上げます。
委員会におきましては、事業概要について、理事者から「本事業は、動物の殺処分ゼロを目指す施策の1つであり、野良猫の繁殖を抑制するため、市民が捕獲し、市内の動物病院に持ち込まれた野良猫の不妊・去勢手術に係る費用を、申請に基づき助成するものである」との説明がありました。
委員会におきましては、実際に事業に取り組む時期はいつごろになるのか質問し、理事者からは、「議会の議決後、長崎県獣医師会大村支部などの関係機関との調整、補助要綱等の整備、周知のための広報等に取り組む必要があるため、早くとも6月ごろになる」との答弁がありました。
次に、飼い猫と野良猫の識別方法について質問し、理事者からは、「申請者には飼い猫ではない旨等を記載した誓約書を市に提出してもらうことになるが、市としても申請書や誓約書の内容に相違はないか、現地での聞き取り調査等を行うとともに、該当地域では野良猫の去勢等を行うため、捕獲する旨の周知を図る。なお、去勢等の処置を終えた野良猫については、耳の一部をカットし、処置されたものと分かるようにする」との答弁がありました。
次に、去勢等の処置がなされた野良猫の管理はどうなるのか質問し、理事者からは、「元の場所に返すことになる」との答弁がありました。
次に、先行実施している他自治体において、飼い猫と野良猫の識別を誤って処置したことによるクレーム等は発生していないのか質問し、理事者からは、「県内においては、そのような事例の発生は確認していない。またそのようなことが発生しないよう、飼い主には飼い猫であることが分かるように、首輪の装着などを推奨する広報に取り組む必要があると認識している」との答弁がありました。この答弁を受け、防災ラジオを活用した広報も検討しているのか質問し、理事者からは、「防災ラジオの活用も含め、ありとあらゆる手段で広報に取り組みたい」との答弁がありました。
以上、審査経過の概要を申し上げましたが、委員会におきましては、反対意見として「本予算案には、マイナンバー制度の推進に係る予算が含まれており、第1号議案と同様の理由で反対する。また、ラボ!ラボ!コラボ!!リサイクル大作戦については、職員が積極的に企画・立案を行ったことは大変評価するが、シティプロモーション効果が本当にあるのか疑問が残り、多額に投入される市民からの大切な税金以上のものが市民に還元されるのかも不透明であるため、反対である」という意見が出された一方、賛成意見として「職員が視野を広げ、いろんな情報をキャッチし、具現化することは非常に大事であり、ラボ!ラボ!コラボ!!リサイクル大作戦については、職員から提案があった点を非常に評価している。しかし、市からの説明では、昨年10月頃から準備に動き始め、機械を実際に確認したとのことだが、議会としては、降って湧いたような事業で、皆目見当がつかない状況の中、十分に審査できる環境ではなかった。市が確認したことを信じて、議案を通してほしいということではあるが、議会は本来、それをしっかりとチェックする立場にある。今後、全く新しい事業に取り組む場合は、議会に対して、事前に情報提供するよう意見を付して、賛成する」、「ラボ!ラボ!コラボ!!リサイクル大作戦については、情報が余りにも少なすぎたため、評価するための材料がなかった。地方創生推進交付金に採択されるかどうかの国の評価をもって判断せざるを得ない。そのため、交付金に採択されなかった場合、事業の執行を停止するよう意見を付して、賛成する」、「ラボ!ラボ!コラボ!!リサイクル大作戦については、職員から出されたアイデアを事業化しようとすることは良いことではあるが、費用対効果が不透明で、また、大型事業を複数抱えている状況の中、何に予算を使うべきかを見極める必要がある。委員会での修正案の提出は適当ではないので賛成するが、議会としては、大村市のためになるのかをしっかりと審査し、判断しなければならないので、本会議において、修正動議を提出する」との意見が出されました。
以上、議案の内容について慎重に審査した結果、賛成多数で原案を可決すべきものと決定したものであります。
なお、委員会として、本当初予算の執行に当たっては、財政課が所管する“ラボ!ラボ!コラボ!!リサイクル大作戦”について、次のように附帯決議を行いました。
1 地方創生推進交付金の交付対象事業として不採択となった場合は、事業の執行を停止すること
以上