宇野重規
帯には「社会を変える」道筋を探る希望の書とあリ、直球タイトルに惹かれてジャケ買い。
中身はライトなタイトルとは程遠いかなりアカデミックな内容で読了までに時間を要した。
選挙には誰でもチャレンジできる、
3バンなくても当選できる、
地方自治から社会を変えよう!
…なんて定期的に出てくる「煽り本」のような類ではありません。
本書では政治不信の払拭の為に「ルソー型(社会契約)」から「プラグマティズム型(実用主義、本書では習慣へと昇華)」への民主主義の転換を目指すとしている。
デューイ、トクヴィル、ホッブズ、パース、ハイエク、オバマ等々、多様な引用が行われたのち、フローレンス駒崎氏のソーシャルビジネス、隠岐島海士町、釜石のまちづくりが取り上げられており、無理矢理感も(失礼)
しかしそこかしこに「そうだよなあ」と腹落ちするくだりも。
まとめは「希望を信じて繰り返せ」と締めくくられる。
納得のまとめではあります。ある意味説得されたので、論考としては成功か。
しかし「政治不信の払拭」や「社会を変える」という帯の売り文句とは距離があるような気がしました。
以下引用
希望とは目に見えないものである。
証明せよといわれても、証拠のあげようのないものこそが希望である。
それでも、それに向かって人々が耐え、働き、戦うことによって達成される何かが希望であると彼がいう
〜中略〜
政治の役割の一つは、「私たちの中にある」、すなわち、私たちが既に潜在的に望んでいるものを、言葉を通じて目に見えるように表現し、そのことによって一人ひとりの「よりよいもの」への変革の「希望」を、社会全体の変革へと結びつけていくことにある。その意味で、政治には希望が不可欠である。