1.本研究科を志望する理由(1,000字程度)
私が経済経営政策専攻・経営学修士コースを志望する理由として、二つの目的があります。
一つは体系だった経営学を学び、自身の経営する事業に反映させ、事業の継続および発展をもって地域経済の活性化と雇用の維持を図る事。もう一つは政治活動や政策の質をより高め、公共経営の担い手である議員活動に反映させる為です。私は高校卒業と同時に社会人となり、20年ほどが経ちました。介護事業を立ち上げ18年、医療事業を立ち上げて2年、実務面ではある程度の経験を積めたと自負しております。また(公社)大村青年会議所に入会し、昨年の卒業を迎えるまで17年、地域貢献活動として青少年育成事業や夏祭りの運営などに携わりました。青年会議所の活動には自己啓発の一環としてリーダーシップ育成事業や異業種経営者との交流、経営の勉強会などを行うのですが、単年度制という組織の性格もあり、専門的、体系的な学びを得るまでに至りませんでした。青年会議所を卒業してからは、独学を重ねておりますが、学びの深さに限界を感じています。経営者としての責務や社会的責任を鑑みればまだまだ学びが足りないと考えています。
そして、青年会議所時代に私が心血を注いだ運動としてマニフェスト運動があります。この運動の目的は「有権者の政治リテラシーの向上」を第一義とし、選挙の際には候補者による公開討論会を開催し、マニフェストを中心とした政策論争をもって有権者の判断材料を提供する、選挙の開催されない時期でもマニフェストの検証を行う、といった運動が中心です。各地でこの運動を展開しながら、政治の一端に接するたびに「私ならば」といった思いが芽生え、政治の志を立てるに至りました。現在では市議会議員として活動して3年、その活動から体得したことは「地方自治は経営である」という事です。経営は「ヒト・モノ・カネの動かし方による利益の追求」と考えますが、地方自治は公益の追及を目指す経営といっても良いでしょう。昨今では公共経営という言葉も使われるようになりました。しかし何を持って公益とするのか、何が公共に資するのかといった難しい問題があり、企業経営には無い難しさがあるのも実感しています。
「このまちに生まれてよかった、このまちに住んで良かった」と思えるようなまちづくり、次世代に誇りをもって託せるまちづくりを実践する為には、政治家としてもまだまだ学びや経験が不足していますが、事業経営に携わってきた実務経験を公共経営に活かすことはできる筈です。本研究科において経済経営政策を専門的・体系的に学ぶことにより、経営者としての能力を向上させ、事業の発展を目指し、現在の議員活動や将来市長として主体的に携わりたいと考えている公共経営の為の学びを得たいと考え本専攻科を志望するに至りました。
2.研究計画の概要又は関心領域の概要(1,000字程度)
私の関心領域は人的資源管理と組織行動学です。「人は城、人は石垣、人は掘、情けは味方、仇は敵なり」これは「風林火山」で知られる武田信玄公が残した甲陽軍艦の中にある勝利の礎とされている御歌です。
私は小規模ながら事業を経営しており、人事で悩みを抱えていたところある経営書の中でこの御歌に出会いました。少ないとはいえ社内からリーダーとなる人材をどのような基準で選抜するべきなのか。いかに組織の陣容を固めるべきか。暗中模索していたところこの歌がストン胸に落ち、改造人事を断行した思い出があります。この歌は経営の真髄を表しているのではないかと考えており、端的に言えば
「企業は人なり」という言葉に集約されるのではないでしょうか。経営資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、中でも「ヒト」という資源管理の難しさはいまだに手に余る思いです。本科において人的資源管理において採用や配属、人材開発や報奨制度等を深く学び、研究し、事業経営に活かしたいと考えています。
また、組織行動学についても大きな関心を持っています。組織を構成するスタッフのモチベーションを向上させ、維持することは企業の継続と発展には欠かせない要素だと考えています。「人はパンのみにて生きるにあらず」と言いますが「パン」が無ければ生活できないのもまた真実です。社会人の多くは企業という組織に属し労働することによって生活の糧を得ます。所謂会社勤めのサラリーマンが組織の多数派を占めますが、その組織群は己の生活の為に働くという大前提があり、求められる以上の成果を出そうとしない、指示される以上の労働をしようとしないという傾向が見て取れます。これは合理的な行動とも言えるのですが、企業としての成長や持続性、労働者自身の成長、企業が社会にもたらす価値の向上にもつながりにくいと考えています。原因は企業や経営者、労働者に様々なものがあると考えられますが、概ね経営者と労働者の意思の疎通や、両社が適当と考える報酬制度、共有できる目標の設定等にあるのではないかと推測します。両者の齟齬を解決し、労働者の意欲向上や自己実現を通して、企業の持続と発展および社会的責任を果たす為にどのような組織を作り上げるべきなのか?どうすれば組織は強くなるのか?という事を学びたいと考えています。これまでの実務経験では私自身の皮膚感覚で事業経営を行ってきた感は否めません。それは私の限界が企業の限界にも当てはまるのではないかと危惧するところです。この学びを得ることによって企業の行動様式や社風を確立させたいと考えています。どうか学びの機会をお与え頂きますよう心よりお願い申し上げます。