「じい、一緒に逃げよう」
「じいも逃げたい。でも逃げられない。じいには守らなければいけないものがここにたくさんあるからね」
私はそう言って孫を抱き締めました。
私の守るべきもの、それは家族、社員、社員の家族、会社、そしてふるさとそのものです。
その言葉が報告者から発せられた時、会場にいた全員が胸を熱くしました。そんな報告がなされた、第三分科会「福島のその後、私たちは負けないⅡ」に参加してきました。
報告者は全員が被災者であり、彼の地に留まり会社と地域の再生に汗を流す会員達です。大震災発生から二年が経過し、一部では復興需要景気の様相も見せていますが、極端な雇用難、人口の減少、そして勤労意欲の低下など、新しい課題が次々と生まれています。
そして原発事故の恐ろしさをまざまざと感じる報告でした。
グループディスカッションでは様々な議論が報告されました。資源のない日本で電力をどう確保するか、といったエネルギー問題に対しての見解。大規模な非常事態が発生した際の会社や経営の危機管理。普段の小さなリスクに対しても心構えが十分できているだろうか・・・議論は尽きる事が無く、あっという間の五時間。新しい発見が多い深い学びの場となりました。
震災復興は未だ道半ばです。まだら模様にしか進まないのが復興の現状であり、現時点でも全国の避難者数31万人(内福島県民16万人)行方不明者2600名を超え、住み慣れた故郷に戻る事さえ許されません。私達も経済活動、同友会活動を通して復興に力を注がなければならないと認識を新たにした第三分科会でした。
文責 大村支部 北村貴寿