無縁社会”無縁死”三万二千人の衝撃
NHK「無縁社会プロジェクト」取材班
昨年包囲されたNHKスペシャル「無縁社会」
私も見ましたが衝撃的な内容で、視聴者からは驚異的な数の反応がありました。
ツイッターを番組とリンクさせ、ロストジェネレーションと言われる世代の闇へにも洞察を広げていく素晴らしいドキュメンタリーでした。
その番組作成における取材過程をまとめた一冊
行旅死亡人(こうりょしぼうにん)、いわゆる身元不明で亡くなられる方が年間3万2千人以上。把握できていないケースも考えればそれ以上でしょう。
行旅死亡人の発見から無縁仏として供養される過程。
孤独死から追ったその人が生きてきた人生
「おひとりさま」の老後と不安。
数人のケースが詳らかにされています。
読んでいて、正直辛くなりました。
時には涙する事も。
命はかけがえのないもの。
そう教わったし、そう思っています。
しかしこの国の中で、こんな悲しい最期を迎えられる方々がいると思うと、胸が一杯になります。命って、絆ってなんなのだろうと考え込んでしまいます。
そして改めて「自己責任」「個人情報保護」が嫌いになりました。
「人に迷惑をかけずに生きる」
社会の中で生活している以上、そんな事は不可能です。
そんな事が出来ると思っている方には失礼ながら勘違いされていると申しあげる。
人は一人で生まれて一人で死ぬものではない。
頼って頼られて、離れてぶつかって、様々な人々と関わりながら生きていきます。
それが人生そのもの、社会そのものです。
そんな社会の繋がりが薄れている現代の病理を鋭く描いてある良書。
難解さは皆無、一気に読めます。
そして、巻末にはほのかな希望、そして決意を感じさせる。
ハッピーな話ではありませんが、読書の秋に、もの思いの秋に、オススメの一冊です。
震災後には様々な変化がありました。
結婚願望が強くなっている、という変化もその一旦でしょう。
「孤独死」は何も遠い世界の話ではありません。
私も自分なりに行動したいと思います。