ちょっと遡りますが、地場企業振興調査特別委員会が商工会議所との意見交換会を3回に分けて行いました。そのご報告とメモ。
意見交換、というよりも勉強会的要素が強く、市内事業者の皆さんの生の声を聞かせて頂く、といった会になりました。
まずは初日、商業・理財・食品・観光部会との意見交換会。
以下メモ。
・市内の貸出総額は上昇傾向、貸し渋り、貸しはがしはあたらない。
・貸し出しは住宅関係が伸びている。
・預金高は個人預金がアップ、企業預金はダウン。
・建設・卸・小売りはダウン、医療・介護サービスはアップ。
・金融円滑化法、モラトリアムを利用したら新規融資は難しくなるのか?
→当初計画の返済が出来なくなった、ということなので勘案する場合はある。一概には言えない。
・県立図書館誘致についての話題
・観光は大村市では難しい。長崎や島原には勝てない。コンベンションシティとしての優位性をアピールしたほうが良い。
・県央だから大村を拠点に何処でも遊びに行ける、というアピールがよいのでは。
・大村の特産品等が知られていない。観光資源の開発不足。じげたまグランプリなどを活用する。
私はマクロ的には産業構造の転換を図るべきだと考えていますので、市内で新規起業は進んでいるか、とお尋ね。
商工会議所としてもバックアップはしている。融資枠もある。理容関係の開業が多かったのでは、とのお話。
全体としては商業を通してのまちづくり、といった話が中心でした。
二日目は製造・卸・工業部会との意見交換会。
市内の食品を中心とする製造、卸を営まれている皆さん会員で、現在約70社とのこと。
この日は初っ端から悲痛とも言えるお話が。
明日が見えない、利益が出ない、との現状から、賃金格差の話や人材確保の難しさ。
スケールメリットと体力のある全国チェーンには太刀打ちできない、という事でした。
業界の厳しさが改めて肌で感じ取れます。
・地域を支えているのは中小企業。
・後継問題は深刻。
・補助金は手遅れになってからでは遅い。スピーディーに。
・無駄なハコモノは不要である。
・地域におカネが回るような仕組みをお願いしたい。
・県や市が歩み寄ったような姿勢がみられるのは良いことだと思う。
・ここ15年は相当厳しくなった。
・自由競争社会は止められない。大手には太刀打ちできない。
・大手に席巻されていて、小さな食堂も閉められている。納入先が減る。負のスパイラルが起っている。
・自衛隊への納入は地元の業者が優先されているようだ。
・予算があるのなら執行枠まで。ダンピング合戦は消耗戦になるだけ。
・食品関係の入札には下限が無い。品質の低下を誘因する原因にもなる。
・退職したスペシャリストの活用。
興味深かったのは自転車業界の話。
県内の自転車のシェアは大村がナンバー1、25,000登録で内5,000が大村とのことでした。
やっぱ自転車に向いてるまちなんだ。やっぱツール・ド・OMURAを・・・
ただ街の自転車屋さんも少なくなりました。やはり大型店の購入が多いようで83%が量販店 13%専門店だとのこと。ちなみに大村は盗難もワースト1(トホホ)
自転車業界を救う一手、として提案があったのが保険関係。自転車の事故は増えており賠償金も上昇傾向とのこと。
資格をもった自転車整備士が整備をすることによってTSマークというのが交付されるのですが、セットで事故賠償保険に入れるそうです。
事故の発生源としては整備不良もあるでしょう。自転車屋さんが整備&保険という新たな商材を展開できるわけですね。
通学には欠かせない自転車。教育委員会などから学生向けに奨励してはどうか、なんて話もありました。
また鹿児島市などが施行している電動アシスト自転車購入の補助制度の提案も。
今回は海外への展開状況はどうかと質問させて頂きました。
グローバル化は避けて通ることができません。大手が席巻する国内のマーケットのみではジリ貧。海外へ向かうべきだと考えています。中小企業振興条例いうところの「域外獲得」の部分ですね。
しかし現実にはまだまだハードルが高いようです。
運送や為替の問題、権利関係、現地のエージェント不足、契約の不履行等々・・・海外のマーケットを開拓するにはまだ中小企業のみでは厳しいかも。
行政のバックアップ、というよりタッグを組んで戦う姿勢が必要だと感じました。
最終日は建設・賃貸業関係との意見交換会。
公共事業は減少の一途を辿っており、塗炭の苦しみと言われます。その業界の声、推して知るべし。
ブログで簡単に発信できないような話もあったかと。
議論が集中したのは公共事業の入札方式。「宝くじみたいなもの」という話は良く耳にしていました。
そして点数制による弊害も。建設関係の中小企業といっても、一人親方から専門資格者を抱えた株式会社まであります。
入札制度には双方からの主張があり、その着地点を見出すのはまだまだ議論が必要だと感じました。
また不動産関係からは家賃のデフレ傾向が報告されました。
フリーレント、半年間家賃半額、敷金不要等その傾向は益々強まっているそうです。
市内賃貸住宅のデータも提出されましたが、私も6月議会で主張した通りの数字。
市内には1000件の届こうかという空き部屋があります。
そんな中に、行政が税金を使って公共住宅を建設。
民業圧迫に繋がることは必至だと思います。
ただこの事業は国の補助金を活用したもの。
震災以降、国の補助事業については色んな変化があるのではとも考えています。
・諫早、大村の議員を含めて意見交換をしてはどうか。
・入札には漏水当番を義務付けている。
・わざわざ条例を作る必要があるのか。行政と議会が円滑に振興策を運用すればよいことでは。
・大きすぎる事業が多い。手ごろな事業規模が無いと厳しい。
・諫早市の規制は厳しい。公共事業は地元発注。
・最低価格を上げるべき、工事の品質にかかわる。労務者の単価も下がる
3回にわたって部会別に開催された意見交換、どの回も有意義なものでした。
知らないことが多かったので大変勉強になりましたし、事業者の生の声を聞いた上で、政治に繋げるというのは議会としての本旨かと。
中小企業振興基本条例の制定についてはこれまでも政策提言に掲げてきたところでもありますし、私だけではなく、議会や行政、事業者にも共通理解が得られている政策だと思います。
制定は目指すのは勿論ですが、コピー&ペーストな条例ではなく、魂のこもった条例にしたいもの。
そして条例制定はゴールではなくスタート。
戦後の経済成長やバブルといった右肩上がりの活性化は見込めないと思います。
しかし適正な規模や実態(この辺の定義も難しいところですが)に基づいた経済がうまく回って雇用が保たれるまちづくり。
安心して住み続ける事が出来る、人が潤うようなまちづくりを実現したいものです。