某紙主催の政経懇話会に参加してきました。
講師は情報政治学者 高瀬淳一氏
演題は「参院選の結果とこれからの政治動向」
出席させていただくのは二回目なのですが今回も本当に勉強になりました。
氏はマニフェスト否定論者だ
「マニフェスト=誰に幾らあげます集だ」と切り捨てる。
政治は調整であり、明確にすると不都合が多い。経団連にとっては政治家にプレッシャーを掛ける良い道具かもしれない。現実路線に修正すれば「ぶれた」と報じるマスコミと有権者が大多数、政治が下品になるという。
至極ごもっともな主張だ。うやむや、曖昧、スローガン公約のほうが政治家にとっては便利だしね。マニフェストは民主主義の理念と同じだ。政治を今より幾らかマシにしようというツールに過ぎない。政治をベストにするものでは無いからだ。
では、どのような公約が良いのか、と考える。
新しい政治文化が生まれるのはもう少し時間がかかるのだろうか。
民主党の敗因については「消費税論議の取り扱い」という見解。
本来は内閣が吹っ飛ぶような課題であり、与党にしては唐突に出しすぎた。有権者は菅首相の後ろに財務官僚の影を見たのではという事だった。
先の衆院選は「民主党にやらせてみよう」で大勝したが、やらせてみたら行政・財政改革が出来ない政党だった。だからみんなの党に流れたのだという。
自民党は確かに1人区では勝ったかもしれない。
しかしそれはリベンジ選挙であり、支持率を伸ばした訳ではないと思うべき。
民主党はこれからが正念場。民主党は党員投票をしっかりやって民主的な政党になるべき。9月の代表戦で菅・小沢という対決構造から抜け出てこそ、与党として成長できるだろうという。
「無党派」という表現は的を得ていない「自立派」と呼ぶべきだ、ともいう。
利益分配型の政治が限界に来ている、ということを有権者は気づいているし、組織に入れば利益があるという構造が崩れている。だから毎回違う政党に投票する。
自民も民主もみんなの党も自由資本主義がベースだから幅こそあれど、極端な違いは無い。その中で「自立派」に訴えるのは言葉の力だ。という
タレント頼みの選挙はやっぱりダメ、とはいえ政策だけでもダメ。
政治家がタレント性を持つように努力しなければならない。
戦後の天才政治家は二人、田中角栄と小泉純一郎。
田中は郵便局でお金を集めて財投に回し公共事業を分配するスキームを作った天才。
小泉はそのスキームの破綻が見えたから自民党を立て直す為に革命を起こした天才。
ちなみに小沢一郎は田中角栄になりたくての真似し続けている秀才どまり、政治手腕はあるかもしれないがやっぱり古い、だそうです。
質疑では財政破綻の可能性などについての話が。
900兆円借金はあるが1400兆円の資産がカバーしているから、というロジックは確かに成り立つが、国債を売り抜けようとする動きが出始めたら一気にデフォルト、ハイパーインフレ、国民生活大混乱、になるのではないかという見解。
しかしその前にIMFがどう干渉してくるかという事もあるだろう。
先日消費税を15%にせよ提言もあったようだ。
なぜこのタイミングで出てくるのかも訝しいけれど。
氏は増税しつつ成長戦略を確実にやっていくしか無いだろう、との見解。
だから利益分配型ではなく不利益分配型政治になる。
そんな時はチアリーダー型の政治家が求められる。
「皆で痛みを我慢しつつ頑張って稼ごう!」と旗を振るリーダーが求められるということだ。
そのリーダーに必要なのは「明るさ」と「言葉政治力」だという
とにかく痛みを先送りにしてきた事に間違いはない。
現実に向き合える国民なのかどうかも問われる所だろう。
それともデフォルトでガラガラポンの方が新しい未来には近道なのか。
韓国だってそうだし。
その他にもテレビ的な裏話も数多く。昼食直後は鬼門なのだがあっという間の講義でした。
とにかく勉強になりました&面白かった。
本当にありがとうございました。