たった1%の賃下げが99%を幸せにする
雇用再生へのシナリオ
城 繁幸 (著)
著者は同世代、というか同い年。
東大法学部、富士通、ベストセラー作家、と輝かしい軌跡だが、失われた20年の煽りを喰ってる団塊の世代ジュニア世代の声無き声を代弁している。
このブログでも「格差社会は市場原理主義のせいだ」「小泉改革が格差を広げた」という主張は誤り。格差は成長し続ける経済を前提とした日本型雇用が経済の低迷により生み出した労働者と労働者の条件対立である。派遣法規制は既得権をますます保護し、失業者を増やす。と発信してきました。
著者も同様(というか本家本元ですね)現状はいままでごまかしごまかしやってきたものがいよいよ臨界点に達しただけだと喝破。
今後の日本に必要なのは雇用規制の緩和、労働の流動化とセーフティネットが必要。英米型に行き過ぎない「フレキシュキリティ」型の政策が必要と主張する。
こんな主張も近年では一般的になってきた(と信じたい)が著者は2007年ごろからこのような主張を続けている。天晴れですよ。
また、自らが労働格差の原因となっている左派に心酔する危険性や、静かに利を得る保守系旧守派が居座っていることも忘れてはいけないと指摘してあります。
文体は鼻息が荒く毒があり切れ味鋭し。
しかし平易な文章で分かりやすいし、文量も多くないのでサラッと読める。
お勧めの一冊です。
これから社会に出る世代、というかどうキャリアを積もうと考えている方にも良いかも。
自己啓発系できる内容ではありませんが、どんな環境を選べば良いのかが見えてくるでしょう。
この国の未来が不安で、かつ、わが子に何をしてやれるのかお悩みの方、示唆を与えてくれるかもしれません。
それは、政治を変えるかグローバリゼーションに真摯に向き合うか、ということです。
政治家志望の私が言えた義理ではありませんが、後者のほうが確実かもですね。