管理会計

maneaga

Horngren, Charles T., Sunden Gary L., Strattton, William O.,

Introduction to Management Accounting, Prentice Hall

(渡邊俊輔監訳『マネジメントアカウンティング [第2版]』TAC出版)

学生:北村貴寿(16115012)

ABM(活動管理基準・Activity-based management

戦略的意思決定や組織の業務改善にABC(活動基準原価計算・activity-based costing)システムを利用する事。広義には戦略や業務の改善可能性を明確にすることで、顧客が受け取る価値を向上させ、利益を増大させることを目的とする。

 

ABMの機能

付加価値コスト(value-added costs)と非付加価値コスト(non-value-added costs)を区別する。

・付加価値コスト:顧客にとっての製品価値に影響を与えずには排除できないコスト。

・非付加価値コスト:顧客にとっての製品価値に影響を与えずに排除できるコスト。

→最小化しようとする。在庫品運搬・保管、生産ライン段取り業務等を再設計する。

 

ベンチマーキング(benchmarking

ABC関連の技法。製品、サービス、活動を最高水準のレベルのそれと比較し、継続的に改善するプロセス。組織の競争優位状況を判断することができる。

・注意点

→ABCの範囲により財務的ベンチマークと業務的ベンチマークは大幅に異なる。

→2段階ABCシステムを採用している企業は多段階ABCシステムから得たベンチマークを比較すべきでない。

 

・戦略的意思決定、経常的コストコントロールとABM

Portland power companyの例

・非付加価値活動を明らかにするためABC情報(図表4-11)を利用しコスト削減。

→改善案

・商用勘定については$14.74で外部委託すれば$8.5となりコストが削減できる。空いたキャパシティは住宅用に利用。請求書紹介についても商用分が排除できる。

・勘定照会活動がコスト高。請求書を詳細化すれば照会が減り、コスト削減できる可能性がある。但しABCシステムによる評価が必要。

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売上予測の難しさ

  • 売上高予測(sales forecast)は総合予算全体の基礎

・仕入予算、生産計画、コストの正確さ→予算売上高の詳細さと正確さに依存。

  • Ritz-Carltonホテルの売上高予算(sales budget)の作成プロセス

①客室占有率、グループイベント、宴会などの活動水準を予測。

②上級経営者の活動コスト設定。

③各部門の従業員チームが改善(原価削減)案を提出。

④マネジャーが年次総合予算に基づき月次部門予算を作成。

→売上高予算は完全に売上高予測に依存している

  • 売上高予算:目標売上高水準を生み出す状況を創出する為の意思決定の結果。
  • 売上高予測:所与の条件の下での売上高の予測。通常、販売担当役員の方針の下で作成される。

以下は担当者が考慮する重要な要因。

①過去の売上高のパターン:

過去の経験を、製品ライン、地域、顧客ごとの過去の詳細な売上高と組み合わせることで、将来の売上高予測に役立つ

②販売員の目線:企業の販売員は、顧客の欲求と計画に関する最高の情報源であることが多い。

③一般的な経済状況:

国内総生産(GDP)や工業生産指数(国内と海外)など、多くの経済指標の関する予測が定期的に公表されている。これらの指標と売上高との関係を理解することによって売上高予測に役立つ。

④競合他社の行動:

売上髙は競合他社の強みと行動に依存。売上高を予測する為に、企業は価格、製品品質、サービスの変更といった競合他社のありうる戦略と反応を考察する。

⑤価格変更:

売上高は価格を下げれば増大し、価格を上げれば減少する。企業は顧客需要に対する価格変更の影響を考察しなければならない。

⑥プロダクトミックスの変更:

プロダクトミックスの変更は、売上高水準だけでなく、全社的は貢献利益にも影響することが多い。最も収益性の高い製品を明らかにし、売上高を増大させる方法を考案する事は、成功する経営の需要な要素。

⑦マーケットリサーチ:

幾つかの企業では、市場条件と顧客の好みについての情報を収集する為に、市場の専門家を雇用している。このような情報はマネジャーによる売上高予測とプロダクトミックスの意思決定に有用。

⑧広告・販売促進計画:

広告等の販売促進コストは売上高に影響を及ぼす。売上高予測は予想される販売促進活動の影響に基づくべき。

  • 売上高予測に用いられる技法の組み合わせ。

・販売スタッフの意見 ・売上高と経済指標の相関に関する統計的分析 ・ライン経営者の意見

→売上高予算は最終的にはライン経営者の責任

  • 正確な売上高予測は重要性課題

・政府等の非営利組織でも売上高予測と同様の問題に直面。洗練された予測が要求される。

 

 

従業員に予算を受け入れてもらうには

  • 予算が企業に便益をもたらす為に必要なもの:全従業員の支援、トップマネジメントの姿勢。

・予算は全従業員が目標に向かって仕事をし、目的設定し、結果を正確に測定し、調査が必要な領域には注意を向ける事に役立つ。

  • 予算編成の利点を失わせてしまう深刻な人間関係①

以下の場合に予算、および予算実行マネジャーは抵抗を受ける可能性がある。

・業績評価に使用される ・会計担当者が失敗の指摘に使用する ・支出制限に使用される

→従業員はトップの消極的、制約的姿勢を感じることがある。回避する為には予算の必要性を証明する事。

  • 予算編成の利点を失わせてしまう深刻な人間関係②

・異なる(対立する)業績尺度により従業員とマネジャーに報酬を与える場合。

  • 予算編成の人的側面は重要性課題、参加型予算編成(participative budgeting)が効果的。

・参加型予算編成:予算に影響を受ける全従業員の積極的参加によって作成される。

→Ritz-Carltonホテル:全レベルの自発的従業員チームが、自分で適切と認めた予算に基づいて業務を変更する権限を持つ。

 

財務計画モデル

  • 予算をうまく作成すれば効果的な意思決定モデルとして役立つ。

・マネジャーは多様な意思決定が短期的、長期的に企業にどんな影響を及ぼすか予測する為に総合予算を利用。

・Dow chemical:様々なコストドライバーに基づき継続的に変更される140のコストインプットを利用。

  • 財務計画モデル(financial planning models):多くの大企業で開発されている数学的モデル

・総合予算に含まれる全業務・財務活動の関係や、経営者の意思決定結果に影響する内部要因と外部要因の関係を数学的に記述することにより、マネジャーの最終意思決定前に様々な代替案の影響を評価することができる。

→what-if問題に回答できる ・売上高が下回ったら?・材料価格が上昇したら?・報酬を上げたら?

・財務計画モデルより予算作成、修正時間が劇的に改善

・Public service Electric & Gas(NewJerseyの公営企業):一日で何度も全社的な総合予算作成が可能。

・財務計画モデルの妥当性:モデル構築・操作に利用する過程とインプットに支配される。ほとんどのCFOが不完全なモデルからもたらされた誤情報により失敗している。

 

活動基準予算(ABC:Activity-Based Budgeting

  • ABCの便益を享受する為には

・ABCは普及しつつあるが、予算管理システムに完全統合する必要がある。マネジャーはABCシステムと同じフレームワークを使用して予算を作成し、活動の管理に集中しなければならない。

・Dow chemical:1997-98、新ABCシステムを予算編成プロセスに統合。多様なレベルの従業員、マネジャーに集中的トレーニングを行った。予算と原価報告書との整合性を図ることでメリットを活かした。

  • 伝統的コストカット「焼き畑式(slash and burn)」の弊害

・全体10%カット等の「焼き畑式」では不満・失望が発生する。マネジャーは全面的な原価削減を見越してコストを過大に見積もる事がある。

・ABCは関連する資源を消費する活動と財務データを結び付け、全体的な効果を損なわずに排除できる活動をターゲットとすることが可能。

・ABCによる製品原価計算に財務計画モデルを利用した企業では、予算編成や人的資源予測、新価格決定戦略、製品合理化にも応用している。

 

分権的組織のマネジメントコントール

組織が成長し、より多様で複雑な活動を行うようになると組織内で意思決定権限の委譲が行われるようになる。意思決定権限が委譲されることを分権化(decentralization)という。意思決定権限のある組織階層が低ければ低いほど分権化は進んでいるという事になる。情報通信技術の発達(Eメール・ファックス等)により分権化は促進される。

集権化と分権化(Centralization Versus Decentralization)

全ての企業にとって分権化が正しいとは限らない。

  • 分権化のコストと便益(Costs And Benefits)

・組織を多少なりとも分権化させることにより、数多くの便益を得ることができる。

①現場を預かるマネジャーにより上位のマネジャーが行うよりも適切な意思決定が行われる。

②マネジャー達に意思決定能力や他の経営管理能力を向上させる機会が与えられる。

③継続してリーダーシップを発揮しなければならなくなる。

→自由裁量権によりマネジャーのモチベーションが向上

・分権化のコスト(リスク)

①自身のセグメントの業績の為に組織全体の利益に合致しない意思決定を行う。

②集権的組織が優位な機能(会計経理、広告宣伝、人事労務)を重複して持ちたがる。

③トップマネジメントが業績を評価する為に、情報を収集・処理するコストが増大

④部門間の交渉にかかる時間の増大

・分権化は結果測定が明確な営利組織に良く見られる。非営利組織には業績測定尺度が無いため。

  • 集権化と分権化の妥協点(Middle Ground)

分権化のコストと便益を考えると経営管理上の意思決定の内、分権化が進む部分と進まない部分がある。

・コントローラー機能

分権化が進む:問題解決職能・注意喚起職能

集権化が進む:実績記録職能(法人税、給与、賃金計算)

・組織内セグメントが相互に依存しない場合、分権化組織が最も効果的

・セグメントの自由裁量権は分権的組織に必須

→セグメントマネジャーに移譲された意思決定権限が見せかけだけではなく、実効性がある状態。

  • 利益センターと分権化(Profit Centers and Decentralization)

・利益センター(収益と費用の両方に対する会計責任)と分権化とは異なる概念であり、混同してはならない。

利益センターのマネジャーには大幅な自由裁量権を認められている者もいれば、その逆もある。コストセンターあっても利益センターより分権的であることがある。

・利益センターとして採用した場合、マネジャーが組織全体の観点から見て最適な意思決定をするようになると考えられるかどうかが重要。

・どのシステムを選択すればトップマネジメントが望む行動をより多く引き出せるかに注目する。

○製品工場の工場長の例

・コストセンターとした場合:生産業務いかに効率よく遂行するかに注力する

・利益センターとした場合:品質管理や特別注文に熱意をもって対応する

内部振替価格(Transfer Price)

内部振替価格とは組織内のあるセグメントから同一組織内の他セグメントへ供給された製品・サービスに対して請求される金額。供給した側には収益となり、受け入れ側にはコストとなる。

  • 内部振替価格の目的(Purposes of Transfer Pricing)

内部振替価格は目標一致を導くためにデータを伝達する為に必要、次のような目的があるが実行は難しい。会社の最大の問題、とするマネジャーも存在する。

・マネジャーが製品・サービスの調達を自製か購入か選択する際の判断基準とするため。

・セグメント業績の評価により販売部門と購入部門のマネジャーが組織目的に合致した意思決定をするように動機付けるため。

・多国籍企業における支払税額を最小にするため。

  • 原価基準の内部振替価格(Transfers at Cost)

世界の主要企業の約半数は、原価(コスト)基準の内部振替価格を採用している。しかしコストには様々な定義(変動費、全部原価、全部原価+マークアップ、標準原価、実際原価)がある。また、2つの注意点がある。

①コストの内部振替(配賦)を行うとコストビヘイビア(原価の発生形態・性質)が分からなくなることがある。

◆コンピューターメーカーでキーボードが事業部ごとに引き渡されてパソコンが組み上げられる例

②実際原価で内部振替が行われる場合、事前に実際原価は確定できないので供給側の不能率が受け入れ側にそのまま移転されてしまい、供給側がコストコントロールをしようとしなくなる。

→予算原価や標準原価を使用すべき。

  • 市価基準の内部振替(Market-Based Transfer Prices)

・企業内部で振替える製品・サービスに競争的外部市場が存在する場合で、市場価格を内部振替価格とすれば、通常目標一致を確保し、マネジャーの努力を引き出せる。

・市場価格は類似製品・サービスの価格リストか、製造事業部が外部市場に提示した価格から内部販売の場合に不要なコストを控除した金額になる。

・最大の欠点は市場価格が常に入手可能だとは限らないこと。

◆OECのテント生産(一張り@布地5ヤード)の為の布地調達方法の例

布地1ヤード@$10(市場価格) 内部振替価格$50

内部販売で可能な節約@$1    内部振替価格$45=市価差引基準の内部振替価格=全社的利益と一致

  • 変動費基準の内部振替価格(Variable-Cost Pricing)

市場価格による内部振替価格の設定は利益センターを導入する際魅力的だが、すべての場合に適切であると言えない。市場価格が入手困難、算定不能な時があるからである。市場価格が使えない場合には、原価加算基準の内部振替価格が用いられることが多い。OECの例の場合には企業全体から見て最適な意思決定を導くために変動費基準の内部振替価格を採用すべきである。

◆図10-1:OECの例(市場価格:布地1ヤード@$10・テント販売価格@$100)

布地1ヤード@$8(変動費=最適な内部振替価格)

テント布地@$40 テント作成の追加コスト@$53 完成テント@$93

布の遊休生産能力が無い場合、テントは作成されない。十分に有る場合は作成される。

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  • 交渉による内部振替価格(Negotiated Transfer Price)

・交渉による内部振替価格の支持者の主張:内部振替の便益(もしくは損失)を最も良く知るのはマネジャーであるから、内部振替を自由な交渉に委ねればマネジャーは最適な意思決定を行う。

・交渉による内部振替価格の批判者の主張:交渉に費やされる時間と手間が問題。交渉活動自体は企業に直接的な利益をもたらさない。

  • 逆機能的行動(Dysfunctional Behavior)

どんな内部振替価格を用いても逆機能的行動(企業全体の利益に反する行動)の問題を完全解決できない。

◆Gulf Oilの例:他のセグメントを犠牲にしても自分の業績を上げようとし、内部振替価格が高騰

◆図10-1:OECの例

布事業は市場価格を内部振替価格の基準とするように主張、$50に設定すればテントは販売価格を上回るコストが必要になり貢献利益を逸する。

・逆機能的行動が発生している場合のトップマネジメントがとるべき行動は状況により異なる。

・トップマネジメントの介入(内部価格の決定と実行を指示)で解決する方法があるが、マネジャーにとっては自由裁量権の侵害と映り分権化にそぐわない。介入が頻繁になれば集権化されたことになる(集権化が望ましいなら再編成も検討)

・分権化を推進したい場合は、供給側と受入側の両方にあらゆる情報を公開し、内部振替価格について自由交渉を認める。逆機能的行動は分権化のコストと考える(繰り返されたら組織変更やマネジャー更迭も検討)

・セグメントマネジャーには現場の情報等がトップマネジメントよりも豊富なので適切な判断を下せることが多い。トップマネジメントはマネジャー同士がお互いの事を考え、企業全体の利益になる行動を導く公式or非公式コミュニケーションをとる。

 

個別原価システム

製造間接の会計 ACCOUNTING FOR FACTORY OVERHEAD

  • 製造間接費の製品への配布方法(How Factory Overhead is Applied to Products)

・価格決定等、日々の意思決定の為、間接費を含む全ての製品コストを知る必要がある。

→ジョブ完成の時点で予算(予定)間接費率を採用し間接費を配布。

◆Dell Computer Corporation:一部の製造間接費を直接費として扱い製品コスト情報の正確性を向上。組立工と工場設備を特定の製品ラインに割り当て、ワークセルでは特定の製品ライン組立とソフトウェア読込を行う。

  • 予算製造間接費配賦率(Budgeted Overhead Application Rates)

製造間接費の会計手続きの要約

1,製造間接費の配布基準となるコストドライバー(直接作業時間、直接労務費、機械時間、生産段取回数等)を選択する。コストドライバーはコスト群と製品とを体系的に関連付ける公分母であること。そして、間接費と生産量との因果関係に関して最良の尺度であること。

2,期間計画の製造間接費予算を作成する。主たる項目は①予算製造間接費②予算コストドライバー量。間接費プールごとに①と②の組み合わせを作成する。

3,コストプールごとに予算間接費総額を予算コストドライバー量で割って予算製造間接費率を計算。

4,ジョブ完成時にコストドライバーの実績値を入手。

5,予算率に実際コストドライバー量を掛けて、予算間接費をジョブに配賦。

6,年度末には間接費の実際額と製品への配賦額との差異の会計処理を行う。

製造間接費配賦の例示 ILLUSTRATION OF OVERHEAD APPLICATION

・Enriquezの例。

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Enriquezでは製品の生産に応じて間接費をジョブに配賦。同社では

◆予算間接費配賦率=予算製造間接費合計/予算コストドライバー量合計(直接労務費や機械時間等)

で計算。機械加工部門のコストドライバーには機械時間を、組立部門については直接労務費を採用した。

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間接費は予算であり、見積もりであることに注意。

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配賦額の要約仕訳は次の通り。4b. WIP 375,000 / 製造間接費統制 375,000

  • コストドライバーの選択(Choice of Cost Drivers)

・会計担当者は原因と結果を最も良く結びつけるコストドライバーを発見しなければならない・

◆Enriquez…機械加工部門のコストドライバーは機械時間。各ジョブに適した機械時間をジョブごとに集計する。組立部門のコストドライバーは直接労務費。50%を間接費として配賦。作業者の給与が異なる場合は作業時間を基準とする。賃率が異なる場合でも直接労務費が適切な場合もある(熟練工等)

・複数のコストドライバーがある場合、理想的には同数のコストプールに分けるべきだが、実際には少数に絞る。

◆80-20ルール…多くの場合、間接費総額の80%は全コストにおける20%のコストドライバーで説明できる。選択したコストドライバーは間接費の大部分を生じさせるものでなければならない。

・どのコストドライバーを選ぶにしても、各部門の多様なジョブコストを計算する為に1年を通じて間接費率が適用される。すべての間接費は様々な基準によりすべてのジョブに配賦される。

◆Dell Computer Corporation:施設コストのコストドライバーは「事業ラインが利用している専有面積」、技術活動コストは「複雑性complexity」で配賦。

製品間接費配賦上の諸問題 PROBLEMS OF OVERHEAD APPLICATION

  • 正常間接費率(Normalized Overhead Rates)

・正常原価計算システム(normal costing system)年間を通じて一定の年平均間接費率を用いる。毎月部門ごとに実際間接費が生じた時点では部門に集計する。完成品コストは、実際直接材料費、実際直接労務費、正常間接費配賦額からなる。

・実際間接費額と配賦額は大抵一致しない。主たる原因は実際の操業度が基準操業度と異なるため。他には予測の誤り、間接費要素の非効率な利用、個々の間接費要素の価格変化、個々の間接費要素の不安定なビヘイビア、 日数の際等がある。

・間接費の変動要因は年間間接費というプールの中で混じり合っている。「実際」製品コストは月ごとの操業度の変化や多くの間接費の不安定なビヘイビアによって歪められているので年間間接費率は月ごとの変動要因を無視して設定・利用される。

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・実際原価計算システム(actual costing system)これまで説明してきたシステムの総称。実際のコストを発生した時点で便益を受けた物量単位に関連付ける。

  • 製造間接費の配布過不足の処理(Disposition of Underapplied or Overapplied Overhead)

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・Enriquezのデータ。最終的には$392,000を何らかの方法で費用としなければならない。予算間接費率を用いる場合、間接費発生額と配賦額の差異は1年分を集計する。

・配賦額が発生額を上回る場合の差異を間接費の配賦超過(overapplied overhead)逆は間接費の配賦不足(underapplied overhead)という。年度末に差異($17,000)を費用化、または追加配賦によって処理する。

  • 即時費用化(Immediate Write-Off)

即時費用化法(immediate write-off method)では配賦不足は売上原価に加算し、当期利益の減少項目として扱う。配賦超過の場合は売上原価を減少させる。その根拠は販売済み製品が殆どなので、精巧な処理は必要ない為。また配賦不足のような追加の間接費は資産性がなく、期末棚卸資産価額の一部にならない為。

  • 棚卸資産への追加配布(Proration Among Inventories)

追加配賦(prorate)期末の勘定残高に応じて配布過不足をWIP、完成品、売上原価へ割り当てること。正確性を高めるためには予算間接比率ではなく、実際間接費率を用いて再計算すべきだが、現実的には3つの勘定の期末残高に基づいて追加配賦する。

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この例では棚卸資産に追加配賦する金額はそれほど大きくなく、実務では棚卸資産評価額に大きく影響する場合にのみ追加配賦を行う。

  • 変動比率と固定比率の利用(The Use of Variable and Fixed Application Rates)

間接費の配賦は製品原価計算で最も難しい。殆どの企業は変動費と固定費を区別しない。Enriquez機械加工部門では次の率を算定した。

◆予算間接費配賦率=予算製造間接費総額/予定機械時間=$277,800/69,450=$4/機械時間

しかし、コントロール目的と同様に変動間接費と固定間接費を区別する企業もある。賃借料、監督費、減価償却費、保険料が固定費と見なされ、以下の2つの率が算定される。

◆予算変動間接費配賦率=予算変動製造間接費総額/予定機械時間=$114,800/69,450=$1.64/機械時間

◆予算固定間接費配賦率=予算固定製造間接費総額/予定機械時間=$163,800/69,450=$2.36/機械時間

これらの率は製品原価計算に利用できる。

 

第2セメスター 最終レポート

管理会計の講義で、特に興味を抱いたのは使用されたテキストの「第7章 総合予算 THE MASTER BUDGET(180頁~207 頁)」である。弊社は社会福祉法人である為、年度単位の事業予算の作成を義務付けられている。作成された予算は、評議員会及び理事会において審議・承認された後、長崎県および大村市に報告する事を義務付けられている。

その予算作成は平成8年の創業当初より私が担ってきた。弊社は常勤・パート含めて25名が勤務する小規模な事業体である。予算作成に時間や労力を費やせる余裕がないことも手伝って、この講義で学んだような「目標達成のロードマップとして役立つ(181頁)」予算は作成してこなかった。加えて、社会福祉事業の会計は特殊である。近年の改正までは減価償却費という勘定科目すら存在しなかった。改正によって民間企業に近づきつつあるが、利益には課税されないので節税という意識が無い。また、余剰資金が積み上がって事業拡大を・・・などと考えることができるような状況でもないが、そんなに困窮しているわけでもなく、収入や支出を厳密にコントロールする必要は無かった。

収入の推計についても、入居者数に応じて県からの補助金が交付されるため、県の予算を確保する為に定員100%の予算を作成する必要がある。年度当初に補助金の枠を目一杯確保し、年度末に実人員に補正する、というやり方だ。補助金確保用の予算と実態とはかい離があるので、それぞれの予算を立てるというやり方もあるのだが、そこまで手が回らなかった、というのが現実だ。同時に、その様な所謂「イージー」な手法でも20年は経営する事ができたのである。

しかし、昨今の介護事業を取り巻く環境変化は、弊社にとって厳しさを増すばかりだ。現在の事業形態のままでは弱体化する一方であり、思い切った変更が必要である。ピンチはチャンス、という楽観的な言葉を盲信している訳ではないが、弊社は今年度中に小規模多機能型施設を増設することを決断した。新たな施設を軌道に乗せ、介護事業の経営回復を図るためには多様な努力が必要になる。予算について言えば、これまで作成してきたような「イージーな予算」ではなく、「目標達成のロードマップとして役立つ予算」であるのは明白である。その様な予算作成の為に、このテキストの第7章は様々な気づきを私に与えてくれた。

中でも「売上高予測の難しさ(196頁)」の文中では、「売上高予算は総合予算全体の基礎」とされ「売上高予算は完全に売上高予測に依存している」との記載があった。これを読んで売上高予測が全ての根源であるような理解をするのは早計である。売上高予測は「所与の条件」の結果であって「所与の条件」を決定づけるのは、目標売上高水準を生み出す状況を創出する為の意思決定の結果=売上高予算である。即ち、売上高予測と売上高予算は両輪の関係であると考えるべきであろう。総合予算を作成するには、どの程度の売上目標を掲げるのか、そして目標達成の為にどのような手段にコストをかけるのか、という意志決定を事前にしなくてはならないのである。

売上高予測を作成する際に考慮する重要な要因としてテキストでは以下8つの要因をあげている。

1.過去の売上高のパターン:過去の経験を、製品ライン、地域、顧客ごとの過去の詳細な売上高と組み合わせることで、将来の売上高予測に役立つ。

2.販売員の目線:販売員は、顧客の欲求と計画に関する最高の情報源であることが多い。

3.一般的な経済状況:国内総生産(GDP)や工業生産指数(国内と海外)など、多くの経済指標の関する予測が定期的に公表されている。これらの指標と売上高との関係を理解することによって売上高予測に役立つ。

4.競合他社の行動:売上髙は競合他社の強みと行動に依存。売上高を予測する為に、企業は価格、製品品質、サービスの変更といった競合他社のありうる戦略と反応を考察する。

5.価格変更:売上高は価格を下げれば増大し、価格を上げれば減少する。企業は顧客需要に対する価格変更の影響を考察しなければならない。

6.プロダクトミックスの変更:プロダクトミックスの変更は、売上高水準だけでなく、全社的は貢献利益にも影響することが多い。最も収益性の高い製品を明らかにし、売上高を増大させる方法を考案する事は、成功する経営の需要な要素。

7.マーケットリサーチ:幾つかの企業では、市場条件と顧客の好みについての情報を収集する為に、市場の専門家を雇用している。このような情報はマネジャーによる売上高予測とプロダクトミックスの意思決定に有用。

8.広告・販売促進計画:広告等の販売促進コストは売上高に影響を及ぼす。売上高予測は予想される販売促進活動の影響に基づくべき。

私が特に注目したのは「8.広告・販売促進計画」である。というのも、弊社ではこれまで広告や、販売促進活動、いわゆるマーケティングに力を入れた事が無いからだ。新施設は弊社がこれまで提供してきた介護サービスでは介護度の上昇に対応しきれなくなり退去、というケースの受け皿という機能を果たすことになる。だからといって、既存サービスの「おこぼれ」をただ待つだけという姿勢は適切とは言い難い。新施設は独自に利用者を確保しなければならないし、既存の施設も問い合わせや紹介を待つという姿勢では経営回復の実現は難しいだろう。待ちの姿勢を排し、消費者にどのように弊社の介護サービスをアピールしていくのか、というのは弊社にとって重要な経営課題だと考える。

大村市H27年3月策定の第六期介護保険事業計画に示されているように、老人ホーム系の平均入居率は89.9%と定員割れが続いている。新たな施設を軌道に乗せるには、入居者の確保が必要不可欠であり、サービスの質の向上は勿論の事、それを消費者に伝えるためのマーケティング活動が必要不可欠であろう。売上高の減少が続く弊社の経営状態を、何をもって経営回復とするのか、という具体的な目標数値を立て、必要な手段とコストを検討し、実行するという意志決定は喫緊の経営課題である。その意思決定を反映した売上高予測を作成する為に、先ずは上記8つの要因を社内で精査してみたいと考えている。

 

 

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