枚方市・ポイ捨てによるごみの散乱及び犬のふんの放置の防止に関する条例
枚方市に建設環境委員会の行政視察に行ってきました。
「まいかた」と読んでしまうのは私だけでしょうか?
面積:65平方キロ
人口:40.9万人
財政力:0.89
一般会計:1173億
経常収支比率:92.8%
実質公債費比率:1%
大村の半分の面積に40万人が住んでいる都市です。
市役所の建物も年季が入っており、親しみやすい雰囲気。
枚方パークは菊人形で有名だそうで、役所でも展示されていました。
財政力は1を超えませんが、公債比率が1%と大阪府内ではトップクラスの健全経営ですね。
犬のふん放置については大村市でも一般質問で取り上げられています。
私も1年ほど前に森園公園に注意放送や看板が並んでいるが効果に疑問がある、として質問しました。
一部市民のマナー・モラルの欠如が招く行政コストにはなかなか納得できません。
美しい大村湾の夕陽を眺めながらリラックスしていると「ペットのフンは・・・」と注意放送が丘の上から流れてくる。
せっかくの大村の宝物が台無しです。
枚方市でも様々な取り組みをされています。
一番効果を上げているのは写真の看板でしょう。
結構強いメッセージが感じ取れます。
実際にフンの放置で刑事罰、罰金となる条例が整備されています。
ただ実際の適用はまだないとの事。告発、裁判までやらなきゃなりませんし、結構な繁雑な手続きになりますからね。
議会でもそれでは「適用しにくい罰は絵に描いたモチ、行政罰の過料が良いのでは」という意見があったそうですが、罪の重みを感じて欲しい、ということで刑事罰としたとの事です。
大村でも条例はありますし罰金も設定されています。
行政罰と刑事罰のどちらが効くのか?というより「罰則があります!」という目立つ看板を設置する事で、フン放置の抑制と市民同士の注意がしやすくなる環境が整う、と言ったところがキモでしょうか。
職員さんも熱心に取り組まれていますし、その成果が出ているのかも。
ちなみに職員の定員管理の数値も高く、平均よりも少ない職員数で頑張られています。
そして、啓発チラシをもって犬の散歩をしながら愛犬家に配布するのが一番効き目があると思う、という見解。
同好の仲間同士、ペットと生活する自分たちの環境を大切にしよう、という意識に訴えると言う事でしょうか。
犬を飼っている人と飼っていない人の対立構造は作らない事。という話も印象に残りました。
以下は提出した報告書原稿。
枚方市の施策、ゴミのポイ捨て及び犬のフン放置の防止についての視察に赴いた。
平成14年3月19日に項目の条例が制定された。制定から10年経ち、美化意識が向上しているとのこと。
具体的な内容としては、環境美化のポイ捨て禁止啓発キャンペーンとして職員が週1回、啓発ロゴが入ったジャンパーを身につけ、枚方市駅周辺を清掃。時間は一時間程度とのこと。
開始当時は緊急雇用助成事業で週5日、予算は年間300万でやっていたが、助成終了後は各課が持ち回りでやっており、市民ボランティアによる別の啓発活動もある。
黄色と黒の目立つカラーリングで、強権的なデザインのポイ捨て禁止看板を配布している。申込書1枚提出のみで市民に配布する。
行政刑罰及び過料では無く、事件とする刑罰だということを市民に知らしめるための看板。勧告は市長の指定を受けた市の職員が行う事となっている。
ポイ捨て・フン放置現行犯を発見後、事件として告発、裁判、有罪、となった後に罰金徴収。と言う流れだが、これまで罰金は0件。
絵に描いたモチと言われる時もあるが、ポイ捨てやフン放置は罪になる、という事をアピールしたいとの思いで刑事罰とした。その罪の重みをアピールできるような看板のデザインにしている。
23年度実績(6年前から配布を開始)
ポイ捨て 285枚 犬のフン 695枚(過去最高)
路上喫煙 61枚 不法投棄 71枚 配布
23年度の新しい取り組みとして、自治会で自己完結型の美化啓発に取り組んでもらった。
内容として、7本の啓発ノボリ、区域内パトロール、ふんを見つけたらすぐ回収、報告書の提出等。フンの放置はなくなった。現在はノボリの設置はしていない。
トラブルは無かったか質問すると、愛犬家から反感があったのか、いたずらなのか分からないが、啓発ノボリのポールを曲げられた。看板を20枚割られた。とのこと。
行政としては活動を広げていきたいが、他の自治会は二の足を踏んでいる。モデルケースになった自治体の中心人物は行政OBという事だった。
自治体と市民団体で協力し、イエローカード作戦を実行した。放置されたフンにイエローカードを置く。地域で監視しているという警告になる。というものだったが、フンとカードを置いておくのが嫌、という声が大きくなり中止。
他にはFM枚方にて啓発放送(282,000円)。市の広報誌でPR、啓発チラシを市で用意しており、自治会で配布してもらっている。また小学校4年生に副読本を配布、学校に手啓発教育も行っている。
今後の課題や懸念事項としては、事業者の責務の部分がPRできていない。職員が事業所を訪問するなどして啓発に努めたいとのこと。
また、猫のフンが公園で増えており、野良猫にえさをあげている住民がいるようだ。苦情が増えている。住民が住民を注意してトラブルがあった模様。
啓発チラシをもって犬の散歩をしながら愛犬家に配布する活動が一番効果があると思う。
愛護団体からは特に苦情は無い。犬を飼っている人と飼っていない人の対立構造は作らない事が大事、と言う事だった。
解決の為のウルトラCは無く、住民と共に地道に途切れなく、継続的に続けていくべきだと思う。
関係条例として路上喫煙の制限に関する条例も制定されている。(20,9,19)
所見(事業採択の可否も含む)
大村市にも条例はあり、行政罰、過料も設定されているが、市民の認識度は低いと思われる。
強権的なデザインの看板配布や、市民と協働した啓発キャンペーン、啓発チラシは効果があると考えられ、当市でも取り組む価値はあると考える。
ただし、市民、動物愛護団体、ペット愛好者等を巻き込んだ息の長い継続的な啓発活動が必要である。