日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門

日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門
~もう代案はありません~

藤沢数希 (著)

月間100万ビューを誇るブログ「金融日記」の著者
ツイッターのフォロワー6万人
外資系投資銀行のトレーダーで言論サイト「アゴラ」のレギュラー執筆陣の一人

私もときどき見てますが面白いです。
くだけた文章で経済的側面から政治経済をシニカルに切り捨てます。
良く知ったアニメや漫画の話も出てきますからたぶん同世代。

象徴的な表現ですが「ホリエモン」や「村上ファンド」側の人間と言っても良いでしょう。一般的に「既得権者層」と言われる方々はときに不愉快になるでしょうね。

日本のムラ社会的意識やメディア&政治リテラシーの低さが「金融」という架け橋によってグローバル化した世界に取り残されていく様に警鐘を鳴らしています。

「勉強してる俺には関係ないし、みんな勝手に貧乏になっちゃえば」的な上から目線スタンスがムカつきますが、これもネタにしてるんでしょうね。
その殆どの考え方がミルトン・フリードマン「資本主義と自由」に代表されるリバタリアズムかと。

私もおおむね賛成できる考えですが、それではこの国は動かない、という事も知っているつもりです。

本の中身はと言うと、グローバル経済と経済学の基礎知識についてかなり噛み砕いて書いてありますので入門書としてはなかなかだと思います。

2点ほどピックアップ。

公共工事等(クラウディング・アウトに繋がるもの)の財政政策がなぜ効かないのか?
「失われた20年」と言われる低成長、借金ばかりが積み上がっているという現実という結果論から考えれば政府財政支出は間違いだらけ、という話は明快ですが、その原因をケインズ批判を中心に解説されているところがとても分かり易かった。

あと資本主義社会で大成功した人たちや莫大な財産を相続した資産家たちが、とうして時に社会主義者になるのか?というくだり。
既得権者たちが巧妙に市場経済競争に敗れた者たちのルサンチマンに忍び込み、自らの権益を守るためにけしかける。そして弱者達は本当の敵を、本当に守らなければいけないものを見失う。

この観点には得心しましたが、それを恣意的なのかどうかが私には分からない。
無意識な愚かさであって欲しい、というのは甘すぎるでしょうか。

代案としてあげられている処方箋はフリードマン的なものが多く、語りつくされた感もありますから割愛。でも「道州制にして日本にシンガポールをたくさんつくる」ってのは面白いかもです。

巻末にはブログや本から感じとれる著者の印象とは正反対の印象。
この本の執筆中に東日本大震災が発災。印税の一部を復興支援に回す、という言葉で締めくくられています。

経済は感情で動くし、論理的、効率的な考えで人が動く事はまれです。
特に政治もそうなので始末が悪い。

しかしグローバリゼーションを注視し、経済学を勉強しておけば、自ずと行動や考え方に落とし込む事ができます。

グローバル化を否定するような声も小さくはありませんが、あなたの服や使っているPCが何処で生産されているかを考えればグローバル化は止まらない、という事は明白です。消費者は合理的に動きますしね。

そんな勉強をしてみよう、と思う方にはお勧めの一冊です。

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