構造改革の真実

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
竹中 平蔵 (著)

小泉改革とは竹中改革だったといえるのだろう。戦後3番目の長期政権を支え続けた経済学者であり、選挙の洗礼も受けた竹中大臣の記録。

大きくは不良債権処理、郵政民営化、経済諮問会議についてまとめてある。
そこには改革を潰そうする勢力のなりふり構わぬ陰謀、策謀。そして老獪な自民党政治家との戦いの記録でもあったようだ。
所属政党を鞍替えしたりした、コテコテの自民系議員が構造改革を批判する理由も判りますね。

印象的だったのは「戦略は細部に宿る」という言葉。

「完全民営化」と「完全に民営化」の意味が違う官僚作文と戦った教訓は重みがあります。改革のうねりと爆発、そして失速する様まで記されており、竹中氏の感動と悔しさが伝わってくる良書です。

「小泉政権で格差が拡大した」という論調には注意が必要です。

OECDのデータを見れば非正規雇用はその前から増加してますし、賃金低下は硬直化した労働形態と労働基準法の強化、長期不況の産物だという論調を私は支持。

不良債権処理は金融危機を防ぎました。そして郵政民営化は財政投融資の話抜きには語るべきでありません。しかし頓挫してるようですが。

ミクロ経済(個人の経済)は感情で動きます。それが積み重なってマクロになるという考え方については異論はありません。
しかしそのマクロの前提となる現状(財政や成長の見通し)はしっかり頭に入れたうえで考えなければならない。

そこを見ず、もしくは見させず、という政治家が少なからずいます。
それは有権者を見くびっているのか、それとも既得権を守ろうとしているのか。

とにかく「目利き」が必要なんだと思います。

専門的なデータが欲しい人には向きません。
しかしだからこそ読みやすいお勧めの一冊。

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