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東京都内にて地域福祉政策セミナー「地域福祉政策・実践編・地域包括ケアシステム構築へ向けた取り組み事例」を受講した。講師は(公社)かながわ福祉サービス振興会の瀬戸恒彦理事長。講義では9つの先進事例をご紹介頂いた。総じてだが大村市は先進地域であるという事が再認識できたように思う。というのも、本年4月からの介護保険改正の中核ともいえる新しい介護予防・日常生活支援総合事業が始まっている。1月時点での国の調べでは、15年度中の移行は114市町村、うち4月実施は78市町村。第6期介護保険事業計画(15~17年度)中に、全国の全市町村は予防給付の通所介護・訪問介護を市町村による新総合事業に移行しなければならない。県内の早期移行は大村市、五島市のみである。地域包括ケアシステムの構築についても先進地と呼べる自治体であるし、取り上げられていた事例は既に現地に赴いた自治体もあり、目新しい情報は得られなかったように思う。

今回の研修の目的はセミナーの内容に「介護ロボットの普及促進に向けて」というコンテンツがあったからだ。しかし関係する資料も添付されておらず、講義は進めど一向に触れる気配がない。休憩時間に主催者に確認すると予定していないとの事であった。看板に偽りあり、である。介護ロボットの内容を勉強する為に来たという旨を伝え講義を要請したところ、短時間ではあったが対応して頂いた。

国内ロボット産業の市場規模は2020年には2.8兆円、2035年には9.7兆円となるとされ、今後は特にサービスロボットの活躍が期待されているところである。

現在介護ロボットに法的な定義は無い。「介護ロボット」と呼ばれていても実際には医療機器であったりすることもあるが、現時点では「①介護者支援型、②自立支援型、③コミュニケーション・セキュリティ・メンタルケア型」3つに分類することができる。

①介護者支援型は介護者の身体的負担を軽減する為に利用される。移動介助の際に装着する「マッスルスーツ」等である。

②自立支援型は「HAL」が昨今脚光を浴びている。高齢者や障がい者の身体に装着し、脚力・歩行機能をサポートする。

③コミュニケーション・セキュリティ・メンタルケア型は「パロ」「パルロ」と呼ばれるロボットである。「パロ」はアザラシ型のセラピーロボットで精神的効果を狙う。「パルロ」はアンドロイド型でクイズやゲームなどのエンターテイメント能力によりレクリエーションに使用される。

「5年前は現場に介護ロボットへの拒否感があった、しかし今かなり興味をもたれている」という状況が生まれているとのことだが、眼前の課題は「価格」である。サービスロボット市場は発展途上であり、高価格なものが多い。講師は10万円台にならなければ普及は難しいだろうという見解であった。国も8つの重点分野を設定して開発を後押ししており、政府は日本の技術力を活かした成長戦略の一つとしている。労働力不足と高齢化を課題とする我が国にさす一筋の光明ではないだろうか。

短時間で足早の講義だったのでとても満足とは言えない内容だったが、更に興味がわいた。

国内では神奈川県「さがみロボット産業特区」が先進地であり、講師が理事長を務める団体も介護ロボット普及促進事業を行っているとのこと。是非現地視察を行いたいと考えている。

蒸気機関が発明された黎明期、労働者達は「仕事がなくなる」といって蒸気機関を打ち壊した、というエピソードがある。

人間は時に新しい技術や文化に否定的な態度を取ることがあるが、科学と文明の発展こそが社会を豊かにする。

ロボット分野もITC技術と人工知能の進化とあいまって、イノベーションが起こり続ける分野であることは間違いないだろう。

開発の場所を選ばない産業も増えている昨今、地域の活性化や雇用にも資する分野なのではないだろうか。今後も注視していきたいと考えている。

 

文責 北村貴寿

 

添付資料 介護ロボットの普及促進