ありがとう、Sさん

Sさんが、逝った。

突然の訃報に立ちすくんだ。

再入院してあっというまだったという。

Sさんとは19年との付き合い、といっても仕事上の関係だった。

親子ほど年も離れているし、一緒に酒を飲んだ事もない。

だけど味のある笑顔が印象的な本当にいい人だった。

12年前のことだ。

私は事故にあった。

それを機にSさんの印象が変わった。

バイクに乗っていて横から車に突っ込まれた。体が空中に放り出されて骨折、救急車で病院に運び込まれた。

血相を変えて駆けつけてくれたSさんは開口一番「なんばしよっとですかぁっ!!」と私を叱りつけた。

仕事上だけの関係だったのだが、あの時のSさんは本気で怒っていた。

少し時間がたって、冷静になってからは淡々と事故の怖さを諭された。

あの怒りは本気で心配してくれた証左だったような気がする。

Sさんはソフトボールが好きなスポーツマンでもあった。

町内対抗のソフト大会には毎年出場しておられ、往年の名選手のような雰囲気があった。

仕事でも本当にお世話になったし、選挙にも力を貸して頂いた。

昨年お会いした時、かなり痩せられていて驚いた。

聞けば胃を摘出する手術をしたという。

全く知らずに恐縮したが、いたずらっぽい笑顔で「ん、なあに、これから太るだけですよ」と言っておられた。

再び入院されている、と聞いたその日の晩に、訃報。

聞いたとき、涙が止まらなかった。

お見舞いに行っておけばよかった。

もう一度お会いしたかったです。

Sさん、本当にお疲れ様でした。

お世話になりました。

どうか、安らかにお眠りください。

ありがとう、Sさん。

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