戦争の条件 藤原 帰一
戦争は残虐であり、絶対悪だという考えに反対する人は少ないだろう。
私もその一人だ。
そして、信頼できない外国政府の野心的な軍事行動を抑え込むためには、軍事力が必要だと考える人も多いだろう。
私もその一人だ。
平和を壊すのも平和を保つのも軍事力である。
現在の平和はそのジレンマの上に成り立っているのだ。
著者曰く「読者を宙ぶらりんの状態に置こうという企み」は成功している。
国際政治は複雑怪奇、笑顔で握手しながらテーブルの下で蹴り合うのが外交である。
全ての国家は自国の国益を最優先に考えるのは当然であって、幾ら考えても「綺麗な答え」にはならないという問いが羅列してある。
国家にはそれぞれの正義がある。戦争を回避するために先制することもあるし、軍事行動を躊躇したために侵略されてしまうこともあるのだ。
著者は、国際社会はもっともらしく聞こえる議論が競合し、せめぎ合いを続けるのが国際関係だとする。
昨今は自分の好む議論、単純明快な答えを声高に叫ぶ人が多い、という事に驚きを感じ、警鐘を鳴らしてているのではないか。
それは思考停止なのかもしれない。
不要な戦争は避けなければならない。
そのためにどのような条件や態度が必要なのか。考え続ける事を止めてはいけない。
とても勉強になりました。
ありがとうございました。