戦争論 レクラム版
カール フォン クラウゼヴィッツ
日本クラウゼヴィッツ学会 (翻訳)
お正月に読みふけりました。
最近は大学院講義の為に経済書ばかり読んでいるので、いい気分転換にも。
戦争は絶対悪です。
無辜の民が犠牲になるものに正義などありません。
そこにあるのは政治です。
そして悲しいかな、戦争が無くなることもありません。
無くならなければ戦争を避ける努力をすべきです。
ならば戦争を避ける前提として
「戦争とは何か」
「戦争の目的とは」
「戦争の目標とは」
「戦争計画とは」
そんな問いに耐えうる見識が必要かと。
クラウゼヴィッツの戦争論は1800年代のヨーロッパで100を超える戦役を分析した大著。
自身は12歳で軍隊に入隊、頭角を現しながらも戦乱に翻弄されプロイセン、ロシアを渡り歩きます。
ナポレオンに敗れたことを機に軍事研究を始めますが、晩年は閑職に追われ、コレラに感染し亡くなります。
書き溜められた遺稿は教養人であった妻、マリーの手によって出版。
哲学的な表現や弁証法によって書かれているため平易とは言えない文体、正直なところ難解です。
私が読んだのは「レクラム版」
抄訳であり、現代と照らし合わせ重要でない部分は省略されているものです。
それでも400ページ超。マンガで解説された本も出ています。
賛否多様な評価がありますが、現在では戦争の本質を理解するためには外せない戦争理論の世界的名著とされています。
戦術論については現代と軍備がかけ離れた世界ですので、参考になるとは言えませんが、戦争の本質を抉り出す記述は刺激的。
安全保障を語るならばお薦めです。
与えられた憲法を墨守することが平和につながるとは思えません。
しかし勇ましすぎるのも考え物。
クラウゼヴィッツは「防御は最強の攻撃方式」としています。
北朝鮮が核実験を敢行。
水爆であると発表していますが定かではありません。
アメリカは世界の警察ではないと公言したGゼロの世界。
日本が平和国家としての歩みを止めない為に、どのような態度が必要なのか。
思考を停止してはなりません。