狼の牙を折れ 門田隆将
安倍元首相が推薦されていた(と思う)一冊
極左暴力集団が革命思想に酔った末に引き起こした、史上最大の爆弾テロ事件。
三菱重工爆破事件を中心とした「実名」ノンフィクションです。
「自分たちの目的の為には人命を奪っていい」という手前勝手な思想に染まった若者たちが爆弾を作成し、無辜の民を殺傷した事件。
恐ろしい限りですが、日本で実際に起こった事件で、まだ50年も経っていません。
犯人は日本赤軍がハイジャックした人質と引き換えに超法規的措置で釈放。
未だ国際手配中であることを忘れてはなりません。
携帯電話もインターネット無い時代、捜査官が徐々に犯人の実像に迫っていく様には静かな興奮があります。スクープを追う報道機関とのせめぎ合いも面白い。著者の取材力の高さが伺えます。
“知名もなく、勇名もなしー名を知られることもなく、手柄を誇ることもない、蔭で世の中を支える人々の心得と使命を表したこの言葉は、表に出ることのない公安部の捜査官がいつも肝に銘じているものである“