皆さんおはようございます。自由民主党大村市選出、政治をイノベーション、北村タカトシです。ご多用の中、傍聴席にお越しの皆様、オンライン傍聴にご協力頂いた皆様、本当にありがとうございます。
会派の皆様のご配慮により本年度二回目の一般質問の機会を頂きました。県民の皆様より議席をお預かりして二年が経とうとしておりますが四度目の一般質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、春の足音が響き始めると同時に、県内の新型コロナウィルス感染者の数も落ち着いて参りました。人類の歴史は感染症との戦いの歴史でもあります。世界から根絶されたとされる感染症は未だ天然痘のみとされており、私達は新型コロナウィルスと共存しなければならない「ウィズコロナ」と呼ばれる時代を迎えました。
県民の皆様と共にこの時代を生き抜き、未来に希望の持てる長崎県づくりのための一時間にしたいと存じます。
先ず、1.福祉保健行政 (1)コロナ禍における受診控え対策 についてお尋ねします。
感染対策として不要不急の外出を控えることは重要ですが、定期受診を延期したり、服薬を自己中断したり、体調管理や体力の維持に必要な散歩などの運動を自粛される方がいらっしゃいます。
また、健康な生活のためには、お口の健康管理も重要です。定期的な管理やケアが中断すれば、むし歯や歯周病が悪化したり、高齢者は誤嚥性肺炎のリスクが高くなってしまうおそれがあります。
地域差はありますが、がん検診の受診数の減少が続いており、今後、数年間に進行したがんの発見が遅れ、死亡者数が増加するとの報道もあります。
県は受診控え対策に、どう取り組むのか答弁を求めます。
次に、(2)コロナ禍における応援職員制度 についてお尋ねします。
本県においても、昨年十二月から二月にかけて多数の感染者が発生いたしました。介護施設においては4市7事業所でクラスターが発生したとの報道もなされております。介護や障がい福祉は社会的弱者の生活基盤を維持する「生活の砦」であり、コロナ禍にあってもサービス提供を継続し続けなければなりません。
しかし、職員が感染したり、濃厚接触者として自宅待機になることにより、マンパワーが不足すればサービス提供が困難となります。その対策として、県は関係団体と「応援職員の派遣に関する覚書」を締結し、応援職員制度を導入されました。
そこで、実際に感染が発生した施設に対する、これまでの応援職員の派遣実績や、課題についてお尋ねします。また、それらを踏まえ、県は今後どのように取り組んでいくのか答弁を求めます。
次に、(3)介護人材の確保 についてお尋ねします。
介護人材を増やしていくためには、二つの視点があるかと存じます。一つは、離職を防止し、現在働いている職員に長く働いていただくこと。もう一つは、新たに介護職員の参入を促すことであり、この二つを両輪として取り組むべきだと存じます。
介護職は離職率が高い、という認識が広く共有されていると存じますが、本県の離職率は全国平均15.3%よりも、12.5%と2.8ポイント低く、処遇改善加算による給与の見直しや、労働環境の改善に取り組まれた成果があらわれているのではないかと存じます。
他方、介護の求人倍率は年々高くなっており、直近の有効求人倍率は2.35倍と、県内の全産業と比べても高い状況が続いています。県内の事業所からも必要な人材を採用できない、と言う声も多数頂いております。
人口減少が進む日本国内で確保できない人材については、外国人の受け入れも積極的に検討していくべきだと存じます。県が進めている友好交流関係を活用した、ベトナムからの人材受け入れについて昨年の一般質問において質しました。その後の進捗状況と、介護事業所への受け入れをどう促していくのか。県の取り組みについて答弁を求めます。
次に、(4)手話通訳者の現状と課題 についてお尋ねします。
昨今、行政の記者会見や大規模な大会に手話通訳がつくことは、当たり前の時代になりました。本県でも昨年より知事記者会見に手話通訳がつくようになったことは、聴覚障がい者の皆様より好評を頂いており、関係者の皆様のご尽力に心から御礼申し上げます。
報道によれば、ろうあ協会へ手話通訳を求める依頼が、ここ十年間で二倍に増えていると紹介され、手話通訳者が抱える様々な課題が顕在化しております。
「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり」を標榜する本県は、増加する手話通訳の需要に対して、現状と課題をどう認識しているのか。さらに、手話通訳者の育成や支援についてどう対応しているのか。県の取り組みについて答弁を求めます。
次に、(5)骨髄ドナー支援制度の導入 についてお尋ねします。
この制度の創設は私が大村市議会の議席をお預かりしている時代から取り組んでおり、今般、長崎県が取り組む事になったことは望外の喜びであり、関係各位のご尽力に心から感謝いたします。
骨髄ドナー支援制度は、白血病などの血液難病で苦しむ患者が、生きる希望を見出し、善意の連鎖を生み出す制度でもあります。私自身もドナーとなり、骨髄を提供した経験があります。移植を受けられた患者さんより「白血病が寛解した、これで普通に生きることができます」というお手紙をいただいた時は感無量でした。
日本骨髄バンクによれば、2021年1月末現在1,862名の患者が移植を心待ちにされておられます。
しかし、残念な事にドナーが見つからず、お亡くなりになる方もいらっしゃいます。
皆様のお手元にお配りしております「お父さんにもらった優しい嘘」という新聞記事は、白血病でご逝去された方の御子息が書かれたものです。
病魔に苦しめられている患者を救う為には、この制度に魂を入れ、善意の連鎖を広げなければなりません。
制度設計上、市町にも同じ支援制度が創設されなければドナー支援をすることができません。現在は大村市、佐世保市のみしか制度が存在せず、他の市町との連携を県はどう広げて行くのかお尋ねします。
また、コロナ禍で骨髄バンク登録ボランティアの活動が停滞し、新規登録者数が減少していると聞いております。登録者の数を伸ばすことこそが、血液難病患者に生きる希望をもたらす事につながります。登録者の確保対策について、県はどう取り組むのか答弁を求めます。
次に、 2.子育て行政について (1)日本版ネウボラの取組みについてお尋ねします。
改めて、保育に携わる皆様に心より御礼申し上げます。コロナ禍における相当なストレスの中で保育に従事される皆様のお陰で日々の仕事ができます。三歳の子を持つ私もその恩恵に浴する一人であります。
保育所においては、日々の保育業務に加え、保護者に対し、子供一人ひとりの状況に応じた助言や支援が行われておりますが、保育園での気になる様子をどう伝えればいいのか、どうしたら受容してもらえるのか、と悩んでいる保育士もいると聞いております。
フィンランドには「ネウボラ」という制度があり、妊娠期から子育て期に至るまで、保健士による切れ目ない手厚い支援がなされております。日本でもネウボラをモデルとした「子育て世代包括支援センター」が先般創設され、市町への設置が進められております。
日本版ネウボラの業務の一つとして関係機関との連絡調整があります。保育士が抱えるこのような課題に対し、市町では具体的にどのように対応しているのかお尋ねします。また、県内の設置状況はどうか、このような取り組みを県はどう支援していくのか答弁を求めます。
次に、(2)子どもの貧困対策 についてお尋ねします。
日本のひとり親世帯の貧困率はOECD加盟国33カ国中で最下位であり、実にわが国の子どもの七人に一人が相対的貧困状態にあります。そして、昨年からはコロナ禍がひとり親世帯の家計を直撃しています。非正規雇用の親も多く、コロナ禍以前と比べて六割が減収か無収入になったという調査結果もあります。
三密を避けた貧困対策には、「こども宅食」に代表されるアウトリーチ型の支援を推進する必要があります。昨年の一般質問で答弁のあった市町が実施する「支援対象児童と見守り強化事業」について、その後の進捗状況はどのようになっているのか。また、県として新年度はどのように取り組むのか答弁を求めます。
次に、(3)ひとり親世帯の支援 についてお尋ねします。
ひとり親世帯は全国で140万世帯に上るとされ、昨今のコロナ禍が世帯収入に影を落としています。養育費の支払いが滞ると貧困が深刻化する傾向にあり、国では養育費請求を「子どもの権利」として民法に定める議論がなされています。
離婚後の子どもとの面会交流は、養育費を支払う意欲につながるものと存じます。
昨年の一般質問で面会交流代行事業の支援ができないか質したところ、新年度当初予算に面会交流支援モデル事業が計上されました。県としてどのように取り組むのか答弁を求めます。
次に、 3.男性の家事・育児等への参加 (1)育児休業の取得率について お尋ねします。
昨今、男女の社会参画について議論百出の状況かと存じます。
内閣府によれば、未だに女性が中心であるという調査結果があります。また報道機関による直近の調査においても、夫も妻も同じように行なう、という結果が58%と伸びてはいるもの、その主体は妻29%に対し、夫0%という状況です。
男性の家事・育児への参加について一つの指標となり得るのが、育児休業の取得率かと存じます。昨年の一般質問において、県職員の男性の取得状況を質しました。一年が経過することから、その後の状況についてお尋ねします。
また、女性の育児休業の取得率は100%であり、男性の取得率も同じレベルに近づけていくことが必要かと存じます。今後の取得率向上に向けての県の取り組みについて答弁を求めます。
次に、(2)意識啓発について お尋ねします。
これまで、県は、男性に向けて家事・育児への参加を促すために、昨年度は「イクボス」啓発動画の作成に取り組まれ、今年度は「パパ検定」動画や、シート作成に取り組まれております。
特に今回作成されている啓発動画は、私も深く感動いたしました。YouTubeの再生回数は本日11万1千回を達成しており、さらに多くの方々に周知して頂きたいと存じます。また、パパ検定シートは家族とのコミュニケーションツールとして活用できるようになっており、私もパパの秘密のレシピ「おとう飯」にチャレンジしてみたいと存じます。
男性の家事育児への参加を促進するためには、今回の動画やシート作成で終わることなく、引き続き、新たな啓発に取り組む必要があると存じます。今後の県の取り組みについて答弁を求めます。
次に 、4.教育行政(1) 教職員の働き方改革 についてお尋ねします。
教育は人づくりであり、国づくりの基であります。より良い国づくりの為には、教育の質を高めることが必要不可欠ですが、質の高い教育を実現する為には、優秀な人材を確保する必要があると存じます。
他方、教員採用試験を受ける人数は減少が続いております。全国の公立小学校教員採用試験倍率は1999年度の12.5倍をピークに減少し続け、2019年度は過去最低の 2.7倍、本県では1.4倍となりました。
大量退職も関係しており、一概に倍率だけで議論することはできませんが、教育経済学者の慶應大学中室牧子教授によれば、複数の自治体の採用試験を掛け持ちするケースが多いため、倍率が三倍を切ると合格させざるを得ない水準だと言われており、優れた人材を採用する選抜機能が働きにくい状況が続いています。
志願者が減少する原因の一つに「学校は大変な職場」というイメージが定着しつつある事かと存じます。
OECD経済協力開発機構の2018年調査では、日本の小学校教員の一週間あたりの仕事時間は、調査対象となった15ヵ国・地域の中で最も長い、という結果も出ております。
教師は憧れの職業、学校は魅力的な職場、というイメージを取り戻し、優秀な人材を確保する為には、教職員の働き方改革を強力に推進する必要があります。
現場の意見を踏まえつつ、しがらみや前例に囚われることなく取り組む必要があると考えますが、業務負担軽減に向けた教育委員会の取り組みについてお尋ねいたします。また、さらに思い切った業務削減を進めるためには、外部の視点を反映させることも重要かと存じますが、今後どのように取り組んでいくのか答弁を求めます。
次に、(2)GIGAスクール構想における私立高校の支援 についてお尋ねします。
コロナ禍により、昨年学校が一斉休校するなど、学びの機会が喪失する事態となった為、国はGIGAスクール構想を前倒しし「一人一台パソコン」の整備を急速に進め、本県においても、今年の七月には県内各校に配備されると聞いております。
他方、県内の私立高校においては、少子化の影響により、経営状況が厳しいことなどから、「1人1台パソコン」の整備が難しい、といった声があります。
私学においては、原則として設置者がこうした費用を負担すべきとは承知しておりますが、Society5.0時代を生きる生徒たちにとって、ICT教育は最重要課題の一つであり、公立、私立の別によって学びの環境に格差が生じる事はあってはならないと存じます。
そこで、私立高校における「1人1台パソコン」の整備見込みについてお尋ねいたします。さらに、今後どのように私学を支援していくのか、県の考えをお尋ねします。
またパソコンは整備するだけではなく、いかに活用するかが重要ですが、こうした点について県はどのように取り組むのか答弁を求めます。
次に、5.中小企業の支援(1)事業承継支援 についてお尋ねします。
日本の企業の99%は中小企業であり、中小企業の元気は日本の元気そのものです。中小企業が元気にならなければ、日本は元気になりません。
社会経済のインフラであり、雇用の主たる担い手である中小企業の支援には様々な課題があります。コロナ禍において苦境に立たされる企業も多く、経営者が高齢化し、後継者不在の中小企業を元気にするためには、事業承継は喫緊の課題であります。
少子化等を背景に親族間の事業承継が減少していく中で、今後は第三者への事業承継であるM&A、つまり企業の買収や合併についても、積極的に支援していくことが必要である事を昨年の一般質問にて質したところでもあります。
そのような中で県は「事業承継加速化補助金」を創設されました。この補助金は、事業承継の受け手側の経費を補助対象としており、他県に類を見ない画期的な補助制度であると評価しております。
そこで、今年度の事業承継加速化補助金の実績をお伺いします。また、同補助金の予算増額も含めて、補助制度を継続し、拡充すべきと存じます。県の考えについて答弁を求めます。
次に、(2)資金繰り支援 についてお尋ねします。
コロナ禍の影響が長期化する中で、資金繰りに支障が生じ、事業の継続に不安を抱えている中小企業が多くなっております。
県は制度融資「緊急資金繰り支援資金」の融資枠を拡大し、中小企業の資金繰りの円滑化を図っている事は承知しておりますが、国では、政府系金融機関を通じて長期間元本の返済が不要な「劣後ローン」による資金繰り支援を行っていると存じます。
借り手が破綻した際に回収順位が低くなる劣後ローンを、県制度融資に組み込む事は難しいと承知しておりますが、劣後ローンを活用することで、資金繰りが改善される企業も多いと存じます。
国の劣後ローン制度が県内の中小企業にも広く活用されるよう、県としても取り組むことが重要だと存じますが、県の考えについて答弁を求めます。
次に、(3)加工食品の高付加価値化 についてお尋ねします。
本県の食品製造業は全製造業事業所数の 37%を占めておりますが、製品開発の為の研究設備等が脆弱な小規模事業所が多く、新商品の開発や、製品の付加価値をより高める為の手段が不足していることが課題かと存じます。
そのような中、県は本年四月に、食料品製造業の振興を図るための施設として食品開発支援センターを大村市に設置いたしますが、加工食品の高付加価値実現に向けて、どのような運営体制で、どのような支援を行っていくのかお尋ねします。
また「売れる商品づくりには専門的な視点が必要」かと存じます。センターにはワンストップの相談窓口を設けると聞いておりますが、センターの職員のみでは解決できないような事案もあるかと存じます。そのようなケースにどう対処していくのか県の考えについて答弁を求めます。
次に、(4)若者の早期離職対策 についてお尋ねします。
県は、若者の県内就職に力を入れ、一定成果も出ているところだと存じますが、一方で就職後の早期離職防止、定着対策も喫緊の課題であります。
長崎労働局が発表した「平成二十九年三月卒業者の離職状況」によると、就職後三年以内の若者の離職率は、大卒が38.3%、高卒が44.3%と、全国平均より5〜6ポイントほど上回っており、約四割の方が三年以内に離職しているという状況です。
平成二十二年より全国平均を全ての年で上回っていることから、慢性化している課題であるとも言えます。
人材難に喘ぐ中小企業は、其々に離職の防止に取り組まれているところかと存じますが、なかなか成果に繋がらないのが現状です。
若者の早期離職の現状について、県の認識をお尋ねいたします。また、その対策をどう講じていくのか答弁を求めます。
最後に、6.防災情報の視認性向上 についてお尋ねします。
2011年3月11日に発災した東日本大震災から十年の節目を迎えようとしております。
家族を失った人、故郷を奪われた人、日常の光景が一変した街。
あれから十年、被災地では新たな街並みが造成され、人々の暮らしも復興に向けて歩みを進めています。一方、原発事故の影響から住民が未だに帰還できない地域もあります。
改めて被災者の皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
年々、災害が激甚化、頻発化している中、昨年の七月豪雨においては、大村市の佐奈河内川が破堤、二百戸以上が浸水被害を受けると言う甚大な被害が発生し、自然災害への備えは他人事では無いことを改めて痛感いたしました。
そのような中で、長崎県河川砂防情報システム 通称 ナックスは、県内の河川水位、雨量情報をリアルタイムで提供することで、水害や土砂災害に対する対策や自主避難の判断に活用していただいていることと存じます。
しかし、スマートフォンで閲覧すると、パソコンの画面を縮小して見ている状態であり、見難い、分かりづらい、操作性も悪いとの声を頂きました。
総務省によれば、2020年時点で国民の約九割がスマートフォンを所有する状況であります。大多数の国民にとって、災害時に活用される情報機器はパソコンではなく、スマートフォンであります。
より効果的な避難情報の提供に向け、視認性、操作性の高い、スマートフォン版ナックスを構築する必要が急務かと存じますが、県の考えについて答弁を求めます。
以上で壇上からの質問を終了し、再質問は対面席からおこないます。知事及び執行部におかれては、県民の声に対し簡潔明瞭、建設的で積極的な答弁を求めます。
ご静聴有り難うございました。