中小企業家同友会の全国大会に来ています。
JCとの違いは企業経営のために学ぶ団体というカラー。
ですから経済や経営の勉強が中心です。
先ずは総会にて活動報告や今年度の運営方針、予算決算が承認されました。
JCのようなドラマチックな演出はありません。
そして分科会。今回私は駒澤大の吉田教授が講師(同友会では報告者と呼びます)の「日本経済社会の発展方向と中小企業の役割」なる講義を受けました。
前半はプラザ合意にはじまるバブル、その崩壊、失われた20年の日本の産業構造の変化についてのレクチャー。
そして今後の経済構造の転換についての定義。2006年をピークに人口減少を迎えている日本の社会構造を踏まえつつ、縮小するマーケットにあわせ価値観の転換を提起。
GDPという物量基準・幾ら豊かになったかという考え方から、GNH=国民総幸福量への転換を訴える。
講義の内容は素晴らしく分かりやすい。
しかしGDPからGNHへ転換をせよ、という話はどうしても腑に落ちない。
「日本は人が減って経済が縮小するから、もう国内成長は諦めて皆で我慢しよう」
と言う話なら率直で分かりやすい。しかしそんな表現では無かった。今回の講義はグローバル化にどう対峙するか、ではなくて内需経済をどうやって喚起するかという手法の実例などが示された。日本は成長指向から成熟指向への転換期だという。
国内の産業や文化、民族性を維持する為に、高くても国内産を買う。
良くわかる。賛同できる。そうあって欲しい。
しかし合理的に行動する消費者が圧倒的多数。
その消費者心理を変えるのは一朝一夕には行かないだろう。
では今どうすればよいのか?ということだ。
答えは「学者に聞かず、経営者が考えてください」という至極納得のいく答えだった。
「分かっていれば自分で経営します」とも。
「今後必要なのは同友会的企業」という〆は御用学者っぽさが感じ取れたがリップサービスということか。
内需を拡大するには、規制強化がてっとり早いだろう。
木材でいえば輸入材を使用するのがワリに合わないような関税でも掛ければよい。
そうすれば山林の荒廃も止まるだろう。輸入食料だって同じだ。
しかし国際社会では様々な外交圧力が掛かるのは容易に想像できる。
様々な報復措置、特に輸入に頼るしか無い物が高騰し、国民に不利益が生じる事態なりかねない。それを被って余りある外交力がこの国にあれば良いが。
内需の拡大には規制が必要だが、バランスも必要だということだ。
そのバランスこそ政治の役割なのだろう。
そして、止まることのないグローバリゼーションに対峙しうる企業を育てる為に規制を撤廃するのも政治の役割だ。
GNHを指標にするのは、良いアイディアかもしれない。
貧しくても幸せという時代があったと教授は諭す。
とても気づきに溢れた講義だったので、論文集も買い求めた。
しかし幸福のカタチは人それぞれだ。同時に成長しよう、戦おうという意欲を無くすエクスキューズにも繋がると思う。強い国づくりにはつながらないだろう。
それともハングリー精神を失うことが成熟ということなのだろうか。