宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く
上杉 隆 (著)
著者がジャーナリストとして週刊誌等に発表した記事をまとめた一冊。
講演を拝聴してファンになった。
安部政権の崩壊から政権交代直前までを時系列で追ってある。
無謬主義(新聞は間違わない)、マスコミ妄信からの脱却を訴えるだけあって氏の記事にも誤りがあり、加筆する形で訂正してあるのは素晴らしい。
同時に麻生政権の解散に至ってはマスコミがこぞって誤報(というか解散操作?)を流し続けた事への批判と訂正をしない尊大さもしっかり批判。
後半は政権が瓦解してゆく様がリアリティをもって綴られていて面白かった。
私もスピンドクターを探そうかな。
しかし週刊誌に寄稿したということで字数制限もあるのだろうか、細切れに繋ぎ合わさっている感は否めず。
軽さもあり講演時に買い求めた「ジャーナリズム崩壊」のようにテーマを掘り下げていくは本ではない。
タイトルについては巻頭について触れてあるが、宰相論を期待して買い求めたので肩透かしを食らった感も。
秘書の経験があることも手伝ってか、著者の政治記者としての能力と分析は素晴らしいと思う。今後も期待大のジャーナリストです。