北方領土視察報告

四島視察の事業報告書を出すのをすっかり失念しており督促状が届く(- -;)
以下フォーマルな報告です

本年一月、京都の地で上坂冬子先生の講話を拝聴する機会がありました。
上坂先生からは領土問題、特に一昨年の漁船拿捕・射殺事件についてのお話を頂き、ロシアにはもとより日本の外交姿勢を疑問視し、憤慨したものです。
そして本年、北方領土返還要求県民会議の副会長に就任したこともあり、この事業に参加できたことは自身の見識を深めることができると同時に、普段の生活において意識することの無い領土問題について、改めて向き合うことのできた良い機会となりました。
事業参加にあたり気になっていたのは返還運動の士気です。
私の知る限りにおいて長崎県民会議については、返還運動の士気が高いと感じ取ることが出来ず、会議等で報告などを受けておりましたが、事業に関しても前例の域を超えることは無かったように思います。
領土返還の為の事業を展開しなければならないのですが、運動が一向に結実しないせいでしょうか、また予算的にも脆弱なせいでしょうか、事業の為の事業を開催しているだけのように思っていました。
これまで変化運動を継続されてきた先輩諸兄の熱意には敬意を表しますが、このままの状態を続けていたのでは運動の火は小さくなるばかり、ともすれば消えてしまうのではないかと危惧をしておりました。
その様な思いを頂きつつ根室へ出発いたしました。
まずは事前研修の合間を縫って根室の一般市民数名に返還運動についてのご意見を伺いましたが、帰ってくる答えはその殆どが返還を諦めているような、運動や行政との乖離を改めて感じるような残念なコメントばかりでした。
長崎県が西の端に位置し、彼の地より遠く離れているからこの運動へのコミットが感じられないのでは、と思っていたのですが、私の触れ合った限りでは根室市民の意識にもあまり差が無い、ということを再認識し益々この運動の未来を危惧したところです。
事前研修を終え出航となりましたが、数時間は携帯電話の通話が可能で、改めて北方四島の近さを感じました。
しかし通話をしてみると国際電話扱いになっています。また、船内では免税ビールで150円、四島は国内のはずだが・・・と思いながらの出発でした。
四島に上陸しての詳細な感想は他の団員の事業報告書にお任せしたいと思います。手付かずの素晴らしい自然に出会えたと同時に、生活の厳しさを感じました。また、ロシア人の環境保全に対する意識は低いようですが、ホームビジッドでは素晴らしいホスピタリティを感じることが出来ました。港湾や空港の整備等、今後は開発が進むと言うことで、益々返還が遠のくだろうと感じたことは団員同士あまり差が無いものだと勝手に思っております。
私の今回の旅のテーマは対話集会にありました。
これまで事業を開催してきた経緯もあるとは思いますが、漁船拿捕・射殺事件や、領土問題についての見解をロシア人から直接聞きたかったのです。
色丹島での対話集会でその質問をさせて頂いたところ、村長より頂いた答弁は「国籍に関わらず死は悲劇、それも家族を養うために漁をしていた方が命を落とされる、ということは本当に悲しいことだ。射撃した彼は与えられた権限で任務を遂行したと考えている、しかし船のゆれ等、不可抗力の部分があったと思う。そしてその軍人はそのことを苦に悩みして軍籍を自ら除した、私たちもとても心を痛めています」というもので、私にとっては十分なものでした。私は「自ら除隊した話は初耳だった、この事件で、同じように悲しみ、悩みを共有できるロシアの皆さんに感謝したい」と答えさせていただきました。
交流というのは楽しければよい、というものでは無いと思います。あまつさえ返還運動を推進する団体の人間が物見遊山をするだけなら意味が無いと考えています。
楽しみも喜びも問題も悲しみも共有する。そして問題が直ぐには解決出来なくとも、両国の問題に目を背けない。そんな姿勢を持ち続けることが真の交流になるのではないか、と思います。
また、水産工場での対話集会でも同じ内容の質問をさせて頂きましたが、そこでの答弁は「用意された答え」に彼なり配慮を加えたものだったようでした。「ロシアの領土内で起こったことで、密猟者を取り締まるのは軍人の責務であるから仕方の無いこと。私も遺体の引き取り現場には立ち会ったが、両国の人間はみな無言であった、色々な思いがあるのだと思う」と言う内容でした。
誤解をしていただきたくないのですが、私は謝罪を求めているのではありません。謝罪を求めるのは政治家の仕事だと思っています。
私たちは一市民であり、両国の市民が喜びも悲しみも共有する民間外交を醸成してこそ、平和的な問題解決に繋がるのではないでしょうか。
質問の内容のせいでしょうか、団員同士が紛糾する場面もあり残念に思いました。返還を目的とした運動を続けるなら変わるべきは我々なのかもしれない、と思う次第です。
また、対話集会の最後に最年少の団員が「若い世代は領土問題をどう思っているのか」と質問をし「私の子どもは日本人と結婚しハーフが生まれた、こんなことが続けば問題はなくなると思う」という答えが返ってきました。質問と答えに整合性はありませんが、暖かな雰囲気で対話集会は幕を閉じたように思います。
最終日は根室に帰航し、飛行機を乗り継ぎ一気に長崎へ戻りました。釧路から羽田までは偶然通訳の方と臨席になり色々なお話をお伺いすることが出来た。101回目の訪問となるそうですが、今回のようなケースは珍しく、領土問題に集中して率直に話し合えることも多かったということです。
1日で北方領土から長崎県まで移動できるインフラがある豊かな本土。
それにくらべ、北方領土は厳しい自然もあいまって、豊かで生活が易い土地だとは感じませんでした。四島からの引揚者の二世三世を含めた調査によると、四島に移住したい、というのは少数派になっているそうです。失礼な話ですが、20年後には元島民の皆さんは鬼籍に入られていることだと思います。そうなると「生まれ故郷を取り戻したい」という返還世論はますます先細るでしょう。
今後、根室でも長崎でも下火になっている返還世論を支えるものは何でしょうか。
水産資源や地下資源といった「国益」を訴える政治家でしょうか。「国益」という言葉を使えば偏狭なナショナリズムが連想されます。確かにこの国全体が戦争に酔った時代がありました。そして竹島や尖閣諸島の話になると軽々しい発言も耳にすることがあります。
私は、日本人には「しなやかなナショナリズム」が必要なのだと思います。それは柔らかに相手を受け入れつつ、自分を見失わない強さを持つことだと考えています。国事をしなやかに考えることの出来る見識を持ち合わせた次世代を育てていかなければならないことだけは確信しました。
とにかく揺れる船には閉口しましたが、同室メンバーとは国事から私事まで放談極まれる素晴らしい時間も共有できましたし、唯一無二の体験ばかりの素晴らしい四島訪問でした。この経験を今後の青年会議所活動に活かしながら、一日本人としてこの問題に関心を持ち続けたいと思っております。
私の人生の中でも大いなる糧となった旅でした。色々とお世話を頂いた事務局の皆様に心より感謝申し上げ報告とさせていただきます。ありがとうございました。

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