スタートラン

なつかしいのが出てきたので記録用に
少々修正してますがなんせ7年前の文章、恥ずかしい表現はご愛嬌
長いですよ、お覚悟w
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降水確率は80%から一向に下がらない。
てるてる坊主も微笑んではくれないようだ。

明日は私たちが結成するモーターサイクルクラブ
「FARWEST LONGRIDERS」のクラブスタートラン。
雨に降られるのは確実らしい。 どうする?やめるか?いや・・・

当初は20台ぐらいの参加が見込まれていた。
仲間が友達をよび、他のクラブからもお祝いとして参加がある予定だった。

が「雨天の場合」をはっきりと周知させておかなかっため
台数は大幅に減りそうだ。
かくいう私も「決行する」のか迷っていた。
女性メンバーもいれば、お年の?メンバーもいる。

「雨?、関係ないよ、走りたいとき走るんだよ」

あるメンバーの言葉に私は背中を押された気がした。
そうだ、誰の為でもない、自分の為に自分の責任で走るのだ。
そして「雨天決行」を皆に知らせた。
ただし「雨だよ、走りたい奴のみだよ」という言葉を添えて。

前夜から雨が降っていた。携帯がなる。Sからだ。

「やってもうた、コケたよ。うん、軽いんだけどさ・・・」

前日から私の家に泊る予定のメンバーからだった。
集合場所の大村は朝からちょっと遠い、という事で泊りに来る予定だったのだ。
近くのショップでSを待っていた私は、ショップから曲がっているであろうハンドルバーを借りてその場所に向かう。
長崎市内は石畳プラス路面電車の鉄のレールが道路を走っており
雨の日のグリップは最悪。それにやられたらしい。

幸い怪我はないようだ
Sのダイナはプライマリーのダービーカバーにクラックが入り
タンクがへこみ、ライザー、シフトペダル等が曲がっていた。

コンビニでテープを調達し、オイル漏れを止める。
ハンドルを無理矢理ねじる。ライザーの根元が曲がっているので
借りたハンドルは役に立たない。
どうやらこれで自走は出来そうだ。もうショップは閉まっている。
長崎の知人の家にいくか、それとも大村にいくか
明日はやめようか、自宅に戻るか・・・

「とにかく大村までいこう」

雨の中、しかも夜、ハンドルの曲ったダイナだったが
なんとか大村までたどりついた。

夜の作業が始まる。
ライザーのボルトをバーナーで焼き修正して組み直し
オイル漏れはたまたまあった防水テープで・・・
ッドに就いたのは午前3時を回っていた。

「どうするよ、明日」
「そうだな・・・いこう、うん。やっぱりいくよ、おやすみ」

二人は、明日が晴れる事を祈りながら眠りに就いた。

雨だった。しかも霧もでている。

「良い天気だね」「そうだね」

何台来るのか、もしかすると二人だけかもね。
取材の人はくるのかな。なんて事を考えながら準備を進める。
私は軍用放出品カッパ、ゴミ袋ブーツカバーでなぜか半キャップ
という妙ないでたち。かなり、ダサい。

集合場所に5分前に着く。と、取材の人がもう来ていた、Uさんだ。

「長崎は雷雨だったんだよ、どうしようかなと思ったけどね。
バイクの取材はバイクでこなきゃあね」
もう2着目だという色褪せてほつれているGベストが「年期」を語っていた。
俺達も乗りつづけなきゃな。

けたたましい音を立てて、メンバーが現れる。
クラブ一の伊達男、T登場。
カッパどころかアロハの上にマシンガンコート。
雨に濡れまくった革のコートは見るからに重そう。
「重さだけはラングリッツなみ」と彼はうそぶいていた。

が、結局カッパを購入し、ゴミ袋フロントフェンダーを
付けた事を付け加えておく。自然をナメたらアカンよw

同じく女性メンバーが現れる
彼女は念願だったハーレーのパンヘッドに乗りかえる為、
今回がドラッグスター最後のツーリングとなる。
ラストが雨とはツイてない。

女性メンバーのTは何故か徒歩。
鉄板シートのショベルは?

「人はねて免停になっちゃた~」っておい!
聞けば早朝、自宅の庭に入ってきて散歩していた爺さんにぶつかったそうだ。
幸い怪我はなかったらしいが何故か警察を呼んでしまい
人身扱いになったらしい。何といったら良いのか・・・ご愁傷さま。
近くの駅まで汽車で来て歩いてきたという。
雨の中、見送りだけの為に、ありがとうね。

車から降りてきた人がいた。
Hさんだ(アダルトチーム・推定50歳?)
「今日はお休みしとくわあ」といってみんなにコーヒーを
おごってくれた。ありがとう。

Aさんからの携帯が鳴る(同じくアダルトチーム)。
「今日はごめんね。気をつけてねえ」慰労会を荒木さんの知り合いお店で開くはずだったのだが、集まりそうもない。
キャンセルの事を伝えると「俺があやまっとくよ」ありがとう。

とりあえずスタートランは4人、取材が一人の5人。
スタート前にクラブスピリットを皆に配り、読んでもらう。説明は走った後だ。

そして俺達は走り出した。雨の中を、いつものコースを。

雨だというのに愛車の調子は良い。
工具類は一応積んできた。このまま何もない事を祈る。
フラットフェンダーが雨や小石を高々と噴水のように跳ね上げている。
なぜかみんな笑顔。

この雨にやられて
おいらのポンコツ、とうとう潰れちまった
どうしたんだHEY HEY BABY バッテリーはビンビンだぜ
いつものように決めてぶっ飛ばそうぜ

俺の雨の日のテーマソング、
RCサクセションをやけくそ気味に歌いながら、走る、走る。
雨が口や耳の中に入ってくる。顔に雨が当たって痛い。前が良く見えない。でもお構いなし。走る。走る

と、いきなりダイナが止まった。
どうした?昨日のトラブルを見落としていたのか?走れるのか?
何の事はない。シフトぺグが落ちただけだ。昨夜シフトペダルが曲がっていたのを修正した後、しっかりと締め付けていなかったのだ。再度ペグを締め込んでまた走り出す。

昼食、西海橋手前の食堂に入る。食堂の手前は更衣室状態。
雨を払い、カッパを脱ぐ車で来ていた客の視線があつまる。
我ながら異様な集団だな

食事をしながらUさんといろんな話をした。
取材だ。クラブについての話。面白い話もたくさん聞けた。

「走る続ける、乗りつづけることだよね」

やっぱりそういう事なんだろうと思う。この命ある限り、だ。

そろそろ出発だ。当初の予定では外海の海岸通りを走ることになっている。
しかしこの天候だ。引き返すか?それも勇気だ、というのは解っている。
女の子もいる。リスクを背負っているのだから。

私は「途中で引き返すのすは悔しい」と思うがままを口に出した。
みんなが同意してくれた。Uちゃんは笑顔で「私は大丈夫だよ」といってくれた。みんなありがとう。

Uさんとは西海橋を過ぎた所で別れる。
これでメンバーだけの4人だ。
くねくねと道が曲がる山間部をタイヤのグリップを確かめるように走っていく。
晴れた日なら何台もバイクとすれ違う道なのだが、今日は一台もいない。
車も少なかったのはラッキーだった。

外海のトンネルに入る手前、子供が手を振ってくれた。

トンネルを抜けると、顔が痛くない、雨が降っていないのだ!
相変わらず曇天ではあるがこの時の嬉しさといったら表現しきれない。

雪ノ浦の海岸で休憩、ツツジが鮮やかに咲いている。
暖かい飲み物で冷え切った体を温める。タバコってこんなに旨かったかな
ツツジの前に愛車を並べ記念撮影。みんな笑顔。

しばらく体をほぐした後、また走り出す。
これから向かう方向に目をやると、霧に包まれて良く見えない。

雨雲におおわれている。最悪だ。

雨は体温と気力を奪う。
雨足も強くなってきた。バックミラーでライトが三つ見えるたび少し安心する。
最後の山越えだ。皆あまりしゃべらない。歌もでない。

未舗装路、泥と砂利が跳ね上がる、顔がイタイ
だれもスリップしなかった。今後、雨の半ヘルは止めとこう。

小さな駅で最後の休憩。

顔色は失せ、皆疲れきってはいるが、顔を合わせればカラ元気
暗い言葉は出ない。
「もう少しだね」「いい思い出になるよね」「今日は風呂がきもちいいぞ」
皆、若く、そして頼もしい。タバコもしけっているが、今日は何故か、格別に旨い。

道が広くなるたびに、街灯の数がふえるたびに、腕に力が戻ってくる。
エンジンの鼓動は俺達を蘇らせ、強くし、家路へと運んでくれる。

これで解散しようか、とも思ったが、最後のミーティングはやはりやる事にした。
今日やる事に、途中で止めない事に意味があるだろうと思った。
今日は特別な日なのだから。

束の間の休息はすぐに終わり、また、雨に打たれ、走る。

一旦愛車を家に置いてからまた集まる事になった。
一台、また一台と離れていく。
相変わらず噴水のように雨を跳ね上げるTの背中を見ながら、交差点を曲がりスタートランを終えた。
手の平をぶつけ合い愛車からおりる。
湯気を立てているエンジンをしばらくそのままにして、ズブ濡れのカッパを脱ぎすてる。ブーツの中はプール状態だ。

エンジンを止め、ウエスで愛車を拭き上げる。
「よく頑張ったよ」「ありがとう」
ものいわぬ鉄のカタマリに言葉をかけるのは皆同じか。

かくして、俺達のクラブ

「FARWEST LONGRIDERS(西の果ての生涯バイク乗り達)」

の記念すべきスタートランは幕を閉じた。

一日中、雨だった。

買い出しを済ませ、俺の部屋に集まった。
焼き肉だ!パーティだあ!おっつかっれさ~ん!
皆シャワーを浴びてきて顔色が戻っている。
ビールが最高に旨い。ガツガツ食べまくるT。
ちょっと遠慮がちな優子ちゃん。
ウェルダンしか食べれないSは「いつもまけるんだよな~」とぼやく。
俺はもっぱら飲み。

お腹も落ち着いた所で、ミーティングをはじめた。
Sが頑張ってクラブのホームページを立ちあげてくれた事。
全国のいろんな人が俺達のクラブのことを知っていてくれている事。
激励の言葉をたくさんもらった事。
スピリットの事。乗りつづける事。カラーを背負うという事。
一生つきあえる仲間でありたい事。

いろんな話をした。Sがデジタルカメラを持ってきてくれていたので
皆で写真を撮った。すぐさまパソコンにおとしてみる。
「家族みたいだね」Uちゃんがポツリと言った。

そうだ、俺達はファミリーなんだ。
モーターサイクルという絆で結ばれたファミリーなのだ。

「雨降って地固まる」となった今回のスタートラン。
お互いの絆がより深まったように思う。
一年半ぐらい前、Tと俺とが道端で出会い、一緒に走りはじめ、ポツリポツリと出会いが重なり、モーターサイクルクラブという形ができた。

モーターサイクルに乗るという行為は常に
「死と隣り合わせである」というリスクを背負っている。

皆忘れがちな事だが事実であり、真実だ。
もう仲間を失うのはごめんだ。
知らなかった、忘れていたじゃすまされない。

でも、俺は、俺達は乗りつづける。走りつづける。

何故?そうまでして?
誰も解らない。借り物の言葉ではしっくりこない。
その答えをやっきになって探そうとも思わない。
そこに「愛車」があり「道」があって「仲間」がいる。
これ以上のものがあるだろうか?

FOREVER TWO WHEELS

FOREVER BROTHERFOOD

FOREVER FARWEST LONGRIDERS!!

            1999年4月19日  

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