こっちは久々、OSの調子が悪かったので更新できなかった。
寄稿依頼があったので、書きました。
皆さんにもどうぞ。
「聖地」
コーンパイプを咥えたマッカーサーの写真をみて、
名前を答えられない人が多いらしい。
聖地には、泥棒野郎が邪魔をしに来るようになった。
千羽鶴に火を放ったり、ペンキをぶっかける阿呆もいる。
9条をどうのこうの、右だ左だと騒がしい。
戦争を終わらせるための原爆だったというパイロット。
終戦六〇周年ですが、と電話が多い。
アメリカ製のオートバイに跨って、アメリカのモーターサイクルクラブのスタイルを踏襲し、アメリカのハードロックバンドのコピーをやる戦争を知らない私は、アメリカの落とした爆弾で目の前で愛するものたちを焼き尽くされた語り部を呼び、原爆と戦争の記憶を呼び覚ますミーティングをやってきた。
バイカーというライフスタイルを選んでいるが、価値観の根っこは武士道で、歴史を読み漁り、自分が何者なのか、どうやって生きていくのか、なんていうことを酔っ払いながら考え込んだりする。
万物は流転する。
私も、周りも、刻一刻と変化をしていく。
ハーレーに乗り始めたころ、もう楽しくてしょうがなかった。
重たいクランクのエンジンは私の脳みそを限りなく柔らかくしてくれ、この世界の終わりなど考えたことも無く、仲間達と走り、語り、キャンプを楽しみ、“豊かさ”に酔っていた。
しかし、ビルに飛行機が突っ込んだあたりからか、物思いに耽るようになった。
ちょっとばかり食った歳のせいかもしれない。ドラッグパイプの音が耳障りになり、モノを買わなくなった。テレビを見なくなり、眉をしかめる様な新聞記事が目に付くようになった。
三十年そこらしか生きていないが、私達の周りは確実に変わってきている。
それも進む先に、明るい光が見えている、とはいい難い。
自分で自分に聞いてみる。
「もう5年だな、聖地は整地できたのか?」
わからない。まだ途中だと答えるしかない。
ただ、長崎ピースラリーは私に沢山の大切なものをもたらした。
祈りを抱えて、薄汚れながら走ってくる愛すべき仲間達。
この地で一緒に生きていくファミリー。
この国の歴史を学び、自ら形成したイデオロギー。
そして、私達の聖地を整地し続けるという、果てのない無い旅。
この旅はいつ終わるか分からない。どうやら長丁場になりそうだ。
連れ立って走る仲間達にも色々と変化が訪れ、浮いたり沈んだりする。
ワイドオープンだったり絞り込んだり、抜いたり抜かれたり、その時々のペースを見極めながら、この先も仲間達と旅を続けよう。
どんな生き方を選ぶのか?
何処を私達の聖地とするのか?
何故私はそれを知りたいのか?
秋の夜長にじっくりと考え込んでみるのもいいかもしれない。
答えは見つからないかもしれないが、探し続けることは大切なことだ。
今年も目の前で愛するものたちを灰燼と化された人たちの声を聞く。
それはこの旅の道しるべを見失わない為に。
SAVE MY STYLE
SAVE MY WORLD
FOREVER TWO WHEELS
あなたの聖地はどこですか?