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大学院の修士論文テーマ発表に参加。

 

締め切りギリギリまでレジュメやパワーポイントのご指導を頂く。

大学の先生方から質問や指導を受ける発表会。

不安MAXで臨みましたが、なんとか切り抜けたか。

しかし、これはほんの入り口、7月の中間発表からが本番かと。

浅学だけにもっと努力しなければ…

 

以下レジュメ…………………………………………………………….

 

平成29年度博士前期課程テーマ報告会レジュメ

平成29年5月10日

長崎大学大学院経済学研究科

経営学修士コース マネジメント科目群

指導教員 林 徹 教授

16115012 北村貴寿

介護事業における魅力ある職場づくりの研究

~事業者トップの経営理念を中心に~

研究背景

2000年4月、介護保険制度という新たな社会保障制度が施行された。主たる目的は、来るべき超高齢化社会に備え介護の担い手を増やし、事業の担い手を社会福祉法人以外にも開放し、多様な事業者の切磋琢磨によるサービスの質の向上や選択の自由を広げる、というものである[1]

制度施行により、高齢者の介護事業を取り巻く状況は一変した。制度施行以前、高齢者介護は社会福祉法人が独占的に行う公的な事業という位置づけであった。自治体の高齢者数や介護ニーズの調査により、行政機関が決定した介護サービスを分配する「措置」という考え方であり、社会福祉法人は介護サービスを分配する半公的な存在、所謂行政の出先機関といった捉え方をされていた。介護サービス市場は社会福祉法人が独占しており、競争力を育む文化は育ちにくく、その経営についての研究も進んでいなかった。

制度施行により閉ざされていた市場は開放され、民間事業者の参入が相次いだ。従来の社会福祉法人から独立し、株式会社やNPOとして起業する者、異業種から参入する者、まったくの新規開業など、介護事業者数は増加し、事業の運営主体は多様になった。M&Aも活発になり、高齢者向け市場は需要がピークを迎えるとされる2025年には全体で100兆円を超え、そのうち介護産業は15兆円を超えるとされている。[2]

 

他方、政府は2005年に介護保険制度導入当初の目的を転換した[3]と言えるだろう。2000年の市場の開放により、事業者が急増した。しかし、介護報酬の財源には公費が投入されており、市場の拡大は社会保障費の拡大に繋がり、政府および自治体の財政状況の悪化に拍車をかけた。一定の条件を満たせば、だれでも介護事業に参入できた開かれた市場は、2005年に自治体との事前協議制度が導入され、事実上の総量規制がかけられることとなった。しかし、参入規制はかけられたものの、事業者数の増加や、相次ぐ介護報酬のマイナス改定により、収支状況が悪化する事業者が増え、倒産件数が急増した。2016年度の倒産件数は2000年以降の調査で過去最多となった。(図1)

 

出典 ㈱東京商工リサーチ 2017年1月11日発表資料を参考に筆者作成

 

介護事業を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、今後も事業者の淘汰が進むと考えられる。そのような中、事業継続を果たす為には魅力ある職場づくりを実践する必要がある。職員にとって魅力ある職場づくりが実現すれば、おのずと事業所の魅力が向上し、利用者の確保も担保されると本研究は見ている。

 

研究意義・目的

介護事業においては様々な経営課題があるが、厚生労働省が発表した需給推計によれば、2025年度にはおよそ38万人の介護職員が不足する[4]とされている。介護事業の経営基盤を強化するためには、介護職の人材確保が喫緊の課題である。

その課題を解決するための方法の一つとして、離職の防止や人材定着の促進がある。介護職員が定着すれば、おのずと職員同士のコミュニケーションは向上し、介護サービスの質の向上にも繋がる。また、介護サービスを受ける利用者やその家族との関係も深まり、介護サービスの持続的な提供に繋がると考える。離職の防止や人材定着の促進には様々な方法が考えられるが、この研究においては「人を惹きつけるのは人」という観点に立つことにする。魅力ある職場づくりを実現する為には、事業者トップに魅力が必要である。トップの魅力が人を惹きつけ、離職を防止し、人材の定着が促進される。

 

ここでは、介護事業者のトップの経営理念を取り上げ、それが人材定着を左右する要因であると考える。経営理念は事業の活動方針の基礎となる基本的な考え方であり、トップの考え方や信念が反映される。経営理念は、組織の文化や気風に多大な影響を与えるし、事業に対する思いや、使命感に現れる。

 

そのような具体例として、介護施設ではないけれども、よく知られている伊那食品工業株式会社がある。坂本(2008)によれば、同社は昭和33年の創業以来48年間の増収増益を果たし、50年間一度の人員整理も行っていない。経営理念は「企業は社員の幸せを通して社会に貢献すること」である。実質的な創業者である会長の塚越寛は生死をさまよった経験があり、弱者の視点に立った経営を実践している。社員のモチベーションや社員満足度を高め、前述の驚異的な経営成績を達成した。

 

以上、様々なバックグラウンドをもつ介護事業者の経営理念やビジョンの源泉、人材との別離における態度やその結果を調査・研究することは、介護事業者が、人材に関する経営上の課題に直面した際の意思決定おいて参考となるはずである。こうして事業の持続可能性を高めることに繋げることが、この研究の意義、目的である。

 

 

主要参考文献

CHENG ZHENGYUN(2016)「『組織均衡論』と低賃金労働者」長崎大学大学院

経済学研究科修士論文.

Hirschman, A. O. (1970) Exit, Voice, and Loyalty: Responses to Decline in Firms,

Organizations, and States, Cambridge, MA: Harvard University Press. (矢野修一訳『離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応』,ミネルヴァ書房,2005年)

Simon, H. A., D. W. Smithburg, and V. A. Thompson (1950) Public Administration,

New York: Alfred A. Knopf.

坂本光司(2008)『日本でいちばん大切にしたい会社』あさ出版.

 

研究の計画

・4月~インタビュー内容検討、先行研究

・5月~インタビュー実施、先行研究

・7月~先行研究の完了、本文の執筆

・提出直前まで論文全体の改良

 

参照URL

厚生労働省「介護保険制度の概要 介護保険とは」(2017. 4. 28アクセス)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/

gaiyo/index.html

厚生労働省「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」(2017. 4. 28アクセス)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000088998.html

㈱東京商工リサーチ「2017年1月11日発表資料2016年(1-12月)老人福祉・介護事業の倒産状況」(2017. 4. 28アクセス)

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170111_01.html

みずほコーポレート銀行「みずほ産業調査Vol.39」(2017. 4. 28アクセス)

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/m1039.htm

[1] 厚生労働省 介護保険制度の概要 介護保険とは

[2] みずほコーポレート銀行 みずほ産業調査Vol.39

[3] 介護保険法第70条第5項により特定施設入所者生活介護事業所の開設に事前協議制が導入された 2005年3月1日施行

[4] 厚生労働省 2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について

2015年6月24日発表

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発表会の終了後はゼミ生との交流会。

帰りしな福江のT君に遭遇。なんたる偶然。

長崎JC歴代を交えて楽しいひと時を頂きました。

ご縁に感謝。